今が最も面白い? 将棋の「電王戦」15日から開幕
2014年3月12日(水)18時2分配信 THE PAGE
「近い将来、コンピューターが人間を追い越す日は来るのだろうか?」
この疑問に対する試金石になるかもしれないイベント「第三回将棋電王戦」(主催・ドワンゴ、日本将棋連盟)が3月15日に開幕します。2012年の第一回では引退棋士ながら元名人である故・米長邦雄永世棋聖がコンピューターと対戦するものの敗戦。昨春実施された第二回ではついに現役棋士の参加が実現しましたが、結果はプロ棋士の1勝3敗1引き分けと人間側の敗北となり、特に最終戦で名人戦A級在籍の三浦弘行九段(当時八段)が敗れた結果は、将棋界に衝撃を与え、社会的にも大きなニュースとなりました。はたして第三回ではプロ棋士が逆襲するのか、コンピューターの進化のスピードが加速しているのか注目されています。
3月から1か月にわたり対局
第3回将棋電王戦(プロ棋士対コンビューターソフト)の対局予定は以下の通り。
◆第1局(3月15日)
菅井竜也五段 vs 習甦(開発者 竹内章氏) 有明コロシアム
◆第2局(3月22日)
佐藤紳哉六段 vs やねうら王(開発者 磯崎元洋氏、岩本慎氏) 両国国技館
◆第3局(3月29日)
豊島将之七段 vs YSS(開発者 山下宏氏) あべのハルカス
◆第4局(4月5日)
森下卓九段 vs ツツカナ(開発者 一丸貴則氏) 小田原城
◆第5局(4月12日)
屋敷伸之九段 vs ponanza(開発者 山本一成氏、下山晃氏) 将棋会館
形式は前回と同じ5対5の団体戦。プロ側は若手有望株に加え、棋聖位三期の実績を持つ屋敷九段を投入し、「今回は負けられない戦い」(谷川浩司・日本将棋連盟会長)と必勝を期す構え。コンピューター側も昨年11月に行われたトーナメントを勝ち抜いたソフトが並んでいます。
コンピューターに不利な?新ルール採用
第二回と比べ新ルールがいくつか採用されました。一つは主催者が用意する統一のハードウェア(ハイスペックPC・GALLERIA)を使用する点。もう一点は「プロ棋士側には本番と同じソフトおよびハードで事前に練習対局できる環境が提供される」ということです。前回大会では三浦九段と戦ったGPS将棋などが、約700台のハードウェアを接続して並列的にプログラムの処理を行う「クラスタ」と呼ばれる技術を使っていましたが今回はこの方式は使えません。
今回のルール変更について、長年コンピュータを用いた将棋の研究に携わってきた工学博士の伊藤毅志氏(電気通信大学情報工学科助教)は「ハードとソフトは切っても切り離せないもので、コンピューターにとって不利になるもので残念」と指摘しています。一方、元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)は「エンタテーメントとして成功するためには今回のルール変更は両者が折り合う意味でありなのではないか」と話しています。事前にプロ側がソフトを研究できるのも大きく、今回はプロ棋士側が勝ち越すのではないかという予想が多いようです。
今回は「人間」が勝利か
将棋やチェスなど一対一で対決するボードゲームの世界は、最善手を続ければどちらが勝つまたは引き分けになるという結論が理論上出せるとされるため、人工知能研究の一環としてソフト開発が進んでいます。すでにオセロやチェスの世界では世界チャンピオンでもコンピューターに勝てなくなっています。しかし、コンピューター将棋は約40年前から開発が始まりましたが、ほとんど日本だけで普及している上、取った相手の駒を自分の味方の駒として使えるというルールなどからコンピューターの苦手分野とみられていました。
だが、2006年に「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した「ボナンザ」の設計図が公開されると開発速度が一気に加速します。ボナンザは「機械学習」と呼ばれる手法を導入。過去の大量の棋譜から自動的に学び、その局面において形勢の良し悪しを評価する手法をとっており、大きな読みミスがかなり少なくなったことが強さにつながっています。また、いわゆる「詰み」を発見するのはコンピューターの得意な情報処理能力の分野であり、すでに人間を上回っているといえます。逆に定跡を大きく離れたり、プロの実戦棋譜の少ない「入玉」の将棋などはコンピューターが不得意ではないかとみられています。
奨励会在籍経験もある強豪の古作氏は「コンピューターは疲れない上、よい意味で怖がらない。人間側はターミネーターと戦っている気分になるのではないか。プロ側がコンピューターの欠陥をつくような戦いをしなければ今回も楽観できない」とみています。
勝ち負けではなく共存の方向性を
人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています。伊藤氏と古作氏も将来、コンビューターがプロ棋士より強くなるという予想は共通しています。
伊藤氏は「そもそも、人間とコンピューターとの対戦は異種格闘技であり、同じ土俵で戦う事自体が困難。まずは、人工知能研究技術の粋を集めたものと人間との対戦を行って、現時点の技術がどのレベルにあるのかを冷静に測ることが研究者としては興味のあるところ。そもそも、人工知能は人間と敵対するための技術ではなく、超えた先には、さらなる高みを目指すコンピューターの利用や、人に優しい(対戦して楽しい)人工知能技術が求められるはず。オセロ界のようにコンピューターから定跡を学ぶという方向性は、将棋界の将来の形の指針になると思う」として、棋士とコンピューターが共存していく必要性を指摘しています。
また古作氏は「(人間対コンピューターの対戦は)今が最もおもしろい時期でしょう」とした上で、「人間は間違うから面白いのであり、逆転があるから味がある。怖さというプレッシャーを乗り越えた人間の棋譜こそが作品になるのではないか」と話しています。
第四回以降の電王戦について日本将棋連盟は「第三回終了後、どうするかドワンゴさんと話し合っていきたい」としています。
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今回の新ルールでは棋士が前もって練習に打てるので、棋士に有利かも。癖を覚えられますからね。初手合いに上手が負けることがままあるんですよね。
2014年3月12日(水)18時2分配信 THE PAGE
「近い将来、コンピューターが人間を追い越す日は来るのだろうか?」
この疑問に対する試金石になるかもしれないイベント「第三回将棋電王戦」(主催・ドワンゴ、日本将棋連盟)が3月15日に開幕します。2012年の第一回では引退棋士ながら元名人である故・米長邦雄永世棋聖がコンピューターと対戦するものの敗戦。昨春実施された第二回ではついに現役棋士の参加が実現しましたが、結果はプロ棋士の1勝3敗1引き分けと人間側の敗北となり、特に最終戦で名人戦A級在籍の三浦弘行九段(当時八段)が敗れた結果は、将棋界に衝撃を与え、社会的にも大きなニュースとなりました。はたして第三回ではプロ棋士が逆襲するのか、コンピューターの進化のスピードが加速しているのか注目されています。
3月から1か月にわたり対局
第3回将棋電王戦(プロ棋士対コンビューターソフト)の対局予定は以下の通り。
◆第1局(3月15日)
菅井竜也五段 vs 習甦(開発者 竹内章氏) 有明コロシアム
◆第2局(3月22日)
佐藤紳哉六段 vs やねうら王(開発者 磯崎元洋氏、岩本慎氏) 両国国技館
◆第3局(3月29日)
豊島将之七段 vs YSS(開発者 山下宏氏) あべのハルカス
◆第4局(4月5日)
森下卓九段 vs ツツカナ(開発者 一丸貴則氏) 小田原城
◆第5局(4月12日)
屋敷伸之九段 vs ponanza(開発者 山本一成氏、下山晃氏) 将棋会館
形式は前回と同じ5対5の団体戦。プロ側は若手有望株に加え、棋聖位三期の実績を持つ屋敷九段を投入し、「今回は負けられない戦い」(谷川浩司・日本将棋連盟会長)と必勝を期す構え。コンピューター側も昨年11月に行われたトーナメントを勝ち抜いたソフトが並んでいます。
コンピューターに不利な?新ルール採用
第二回と比べ新ルールがいくつか採用されました。一つは主催者が用意する統一のハードウェア(ハイスペックPC・GALLERIA)を使用する点。もう一点は「プロ棋士側には本番と同じソフトおよびハードで事前に練習対局できる環境が提供される」ということです。前回大会では三浦九段と戦ったGPS将棋などが、約700台のハードウェアを接続して並列的にプログラムの処理を行う「クラスタ」と呼ばれる技術を使っていましたが今回はこの方式は使えません。
今回のルール変更について、長年コンピュータを用いた将棋の研究に携わってきた工学博士の伊藤毅志氏(電気通信大学情報工学科助教)は「ハードとソフトは切っても切り離せないもので、コンピューターにとって不利になるもので残念」と指摘しています。一方、元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)は「エンタテーメントとして成功するためには今回のルール変更は両者が折り合う意味でありなのではないか」と話しています。事前にプロ側がソフトを研究できるのも大きく、今回はプロ棋士側が勝ち越すのではないかという予想が多いようです。
今回は「人間」が勝利か
将棋やチェスなど一対一で対決するボードゲームの世界は、最善手を続ければどちらが勝つまたは引き分けになるという結論が理論上出せるとされるため、人工知能研究の一環としてソフト開発が進んでいます。すでにオセロやチェスの世界では世界チャンピオンでもコンピューターに勝てなくなっています。しかし、コンピューター将棋は約40年前から開発が始まりましたが、ほとんど日本だけで普及している上、取った相手の駒を自分の味方の駒として使えるというルールなどからコンピューターの苦手分野とみられていました。
だが、2006年に「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した「ボナンザ」の設計図が公開されると開発速度が一気に加速します。ボナンザは「機械学習」と呼ばれる手法を導入。過去の大量の棋譜から自動的に学び、その局面において形勢の良し悪しを評価する手法をとっており、大きな読みミスがかなり少なくなったことが強さにつながっています。また、いわゆる「詰み」を発見するのはコンピューターの得意な情報処理能力の分野であり、すでに人間を上回っているといえます。逆に定跡を大きく離れたり、プロの実戦棋譜の少ない「入玉」の将棋などはコンピューターが不得意ではないかとみられています。
奨励会在籍経験もある強豪の古作氏は「コンピューターは疲れない上、よい意味で怖がらない。人間側はターミネーターと戦っている気分になるのではないか。プロ側がコンピューターの欠陥をつくような戦いをしなければ今回も楽観できない」とみています。
勝ち負けではなく共存の方向性を
人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています。伊藤氏と古作氏も将来、コンビューターがプロ棋士より強くなるという予想は共通しています。
伊藤氏は「そもそも、人間とコンピューターとの対戦は異種格闘技であり、同じ土俵で戦う事自体が困難。まずは、人工知能研究技術の粋を集めたものと人間との対戦を行って、現時点の技術がどのレベルにあるのかを冷静に測ることが研究者としては興味のあるところ。そもそも、人工知能は人間と敵対するための技術ではなく、超えた先には、さらなる高みを目指すコンピューターの利用や、人に優しい(対戦して楽しい)人工知能技術が求められるはず。オセロ界のようにコンピューターから定跡を学ぶという方向性は、将棋界の将来の形の指針になると思う」として、棋士とコンピューターが共存していく必要性を指摘しています。
また古作氏は「(人間対コンピューターの対戦は)今が最もおもしろい時期でしょう」とした上で、「人間は間違うから面白いのであり、逆転があるから味がある。怖さというプレッシャーを乗り越えた人間の棋譜こそが作品になるのではないか」と話しています。
第四回以降の電王戦について日本将棋連盟は「第三回終了後、どうするかドワンゴさんと話し合っていきたい」としています。
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今回の新ルールでは棋士が前もって練習に打てるので、棋士に有利かも。癖を覚えられますからね。初手合いに上手が負けることがままあるんですよね。