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 田坂広志 「風の便り」 特選  第131便
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 詩人の嘆き


  現代は、言葉に「手垢」がついてしまう時代である。

 ある詩人が、そう嘆いています。

  現代のマスメディアは、
  商業主義的な言葉の濫用の中で、
  味わいのある言葉、
  香りのある言葉を、
  「深い思い」を持つことなく使ってしまう。

  そのため、それらの大切な言葉に
  「手垢」をつけてしまう。

 それが、詩人の嘆きです。

 では、我々は、
 大切な言葉が濫用されるこの時代に
 どうすればよいのか。

 その問いを抱くとき、
 我々の心には、一つの考えが浮かびます。

  大切な言葉に「手垢」がついてしまったならば、
  「手垢」のついていない、新しい言葉を創造する。

 しかし、そう考える自分の傍らに、
 なぜか、全く逆の思いを抱く、もう一人の自分もいるのです。

  大切な言葉に「手垢」がついてしまったならば、
  さらに深い「思い」を込め、「願い」を込め、
  その言葉を、使う。

 なぜなら、

  「言葉の生命力」

 それを深く信じるとき、
 言葉は、その輝きを取り戻すからです。

 2003年11月24日
 田坂広志

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そういやこの頃言霊(ことだま)ということが再認識されてきましたね。