気まぐれ何でも館:(581)濱田廣介遺稿歌集 (7)
山ふもと海のほとりともろびとは春日(はるひ)うららに住みたらふらし
春あさき霜のあさけをかすが野にわがたづねたる歌の石ぶみ
秋草道人の歌碑をたづねて
たいじんはここにいまさねさながらに歌のいしぶみかすが野に立つ
かぐらざかさかちかくしてわかうどらつれて道ゆくたいじんを見き
ゑさこひによれるめじかにまじりたるをじかの角はいまだみぢかく
春弥生(やよひ)みろくぼさつはあごたれてものもひたまふいときよらかに
芽ぶく日をまた来むものかさるさはの霜のあさけのきぬかけやなぎ
ふるさとをはるばるここに紀三井寺一度はわれもまゐりゆかなむ
とんねるをくぐりいづれば下津なる山のつらなりみなみかん山
もろごしをまげて杖つく人のごと世を生きつぐやいりあひざくら
ふるき日のにほひかたたむ春あさき粉河の寺のおほやねのいろ
こかは寺めぐりし人はゆきゆきて月日つもりぬやねにはしらに
いく世びと旅のめぐりかここにしてかねうちならし歌となへけむ
14.2.22 抱拙庵にて。