気まぐれ何でも館:(575)濱田廣介遺稿歌集 (1)
  
 浜田 広介(はまだ ひろすけ、旧字体:濱田 廣介、1893年(明治26年)5月25日 - 1973年(昭和48年)11月17日)は、日本の童話作家。本名は廣助。日本児童文芸家協会初代理事長。代表作に『泣いた赤鬼』『椋鳥の夢』『竜の目の涙』などがある。坪田譲治、小川未明とともに児童文学界の三種の神器と呼ばれた。
この遺稿集は中学生時代から始まって、339首採録されているが、中学時代からなかなかのものである。
  
 土沢村ここに生れて世を早く逝きにし君がおくつきに来ぬ
  
 亡き友のみ母ぞわれら見おくりて手を振りたまふ青田の道に
  
 あはれなりただおとなしくおのれのみまもれる人のしるきおとろへ
  
 うす闇がそこはかとなく胸の上にはひあがり来(く)も灯(あかり)ともさむ
  
 雨の日は雨にしづかにぬれてたつ木にしたしめりくらき心か
  
 ふるさとのちりためづかのけいとう花すがれゆくらむ雨けふも降る
  
 雨の日のうすくらがりに米をとぐひとり男にかなかなのなく
  
 ふるさとの四月の夜の雨寒くわれただ山に立ちわかれゆく
  
 ものうりの声にさめては牛込のやどのかりねの朝をさびしむ
  
 春や来ぬこころはここにさだまれどこのあけくれをひとりさびしむ
  
 こころざしわれのたつるは早かりきはしらかたむく家に生れて
  
 ややしばし見あげたりしか久世山に子等があげる凧のうなりを
  
 日の庭にかげくろぐろとなげて飛ぶあきつのはねはかすかなるかも
  
14.1.11 抱拙庵にて。