「偽装請負」を訴えたらクビに 日立の内部告発窓口は機能しているのか 

2013年12月13日(金)17時0分配信 キャリコネ


社内の不正をいち早く把握し、対処するために「内部通報窓口」を設置する企業が増えている。社員に窓口を安心して利用してもらうためには、通報によって不利益な取り扱いを受けないことが保証されていなければならない。

通報された情報が実名とともに、上司や人事に筒抜けになっているとしたら――。キャリコネの告発窓口には、不正を通報したことによって会社から追い出されてしまったという女性社員の訴えがあったので紹介したい。

クライアントが直接コピーやデータ入力を指示してきた
田中良恵さん(仮名・30代前半)は2012年9月、日立コンサルティングにシニアコンサルタントとして入社し、あるプロジェクトに加わった。プロジェクトマネージャーら数人とメガバンクに常駐し、行内のITシステム上の課題を洗い出し改善を支援するのが目的のはずだった。

しかし、常駐を始めて間もなく、あることに疑問を抱いた。プロジェクトは、メガバンクと大元の日立製作所が契約し、日立コンサルティングを含む子会社がサブコントラクターとして参加。プロジェクトのメンバーには日立グループの社員のほか、日立コンサルティングがさらに下請け契約した日立とは無関係のパートナー企業の社員もいた。

このような契約の場合、本来はプロジェクトメンバーへの指示は日立製作所の社員が行うべきだ。しかしこのプロジェクトでは、メガバンクの担当者がメンバーに直接指示を出し、出社時間も決めていた。

ときにはコピー取りやデータ入力など、請負契約の範囲外の作業も指示してくる。田中さんは、この作業形態は「偽装請負」にあたる違法行為ではないかと考えた。

プロジェクトから半年後、彼女はメガバンクの担当者に直接疑問をぶつけた。メガバンクの担当者は事実関係について、日立側に確認を取ることを約束してくれた。

すると後日、メガバンクから連絡を受けた日立コンサルティングのプロジェクトリーダーと人事課長は彼女を本社に呼び出し、「この業務は今日で終わりだ。入館証を返せ。」と怒鳴りつけたという。さらに、荷物を取りに戻りたいという彼女を銀行まで追いかけてきて、無理やり入館証を取り上げようとした。

労働局への通報者を探るアンケートを実施
翌日から会社本体に戻され、他の社員のためのリサーチなど、別の業務に従事させられた。会社の行為に憤りを感じた田中さんは、偽装請負の疑惑について密かに労働局に通報し、調査を依頼した。

その結果、偽装請負が認定され、会社に行政指導が行われたそうだ。

ところが会社は、労働局に通報した人が誰かを探るためのアンケート調査をプロジェクトメンバーに対して行った。通報した事実をあえて申し出る必要もないが、ウソを言って隠す必要もないと考えた彼女が回答を拒否すると、会社側の制裁が始まった。

まず、基本給に含まれていた裁量労働手当てをゼロにされ、職位もシニアコンサルタントから2ランク下の新卒レベルのアナリストに降格。給与も大幅に減額された。彼女は労働局に相談し、労働者と話し合いを行うよう会社に指導があったが無視されたという。

業を煮やした田中さんは、親会社である日立製作所のコンプライアンス室の内部通報窓口に事態を申告した。申告には日立のコンプライアンス担当者が対応してくれた。

コンプライアンス担当者との7回目の面談を終えて職場に戻った時だった。コンプライアンス室から「ご指摘の事実は確認できませんでした」というメールが届いていた。

コンプラ担当者と面談したら解雇予告手当が振り込まれた
「面談は続いているのに、なぜ調査したと言えるのか」と田中さんが訝しんでいると、所属部門長から会議室に来るよう言われた。行くと、いきなり人事部長らに取り囲まれ、解雇通知を突きつけられた。受け取りを拒否して立ち去ろうとすると、人事部長は大声で「出ていけ!」と何度も叫んできた。

解雇当日に解雇予告手当はすでに彼女の銀行口座に入金してあった。これは、解雇通告される前、つまり、彼女がコンプライアンス担当者の面談を受けていた最中にすでに解雇予告手当の振込み手続きが行われていたことになる。

会社は内部告発窓口を、会社の不正に異議を唱える社員を追い出すための道具として利用したことになるのではないか。現在、彼女は、偽装請負について日立コンサルティングと日立製作所に対し刑事告訴を行ったところだという。

なお、この記事は労働者側からの告発をまとめたものであり、編集部は日立コンサルティングへの取材を予定している。

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あくどいことを普通にやっている企業の場合、内部告発するとこうなるんでしょうね。しかるべき所に訴えて、日立に倍返しだぁ~!!