汚染水、田畑にぶちまける"手抜き"マニュアル入手
デタラメ除染がはびこる被災地
(週刊朝日 2013年12月20日号配信掲載) 2013年12月11日(水)配信
民家の庭に“放射能ガラクタ”を埋めるという前代未聞の不法投棄事件が本誌のスクープで発覚し、被災地は大揺れだ。だが、闇はまだまだ深い。告発した作業員が、除染で出た“汚染水”を田畑に垂れ流したことも明かしたのである。背景には「お目付け役」と癒着した、除染現場の腐敗があった──。
ジャーナリスト今西憲之+本誌取材班
内部告発を寄せた除染作業員の吉田慎三さん(仮名=40代)と、一緒に作業したBさんの2人が本誌に対し、さらなる「デタラメ除染」を告白した。
それは今夏、福島県田村市東部にある牛小屋を除染しているときに起こったという。牛小屋は家の庭に汚染ガラクタを埋められた被害者、池本正博さん(仮名)宅のすぐ近くだ。
その日は屋根などについた放射性物質を洗い流すため、水を使った高圧洗浄を実施していた。
洗浄に使った水は汚染されているため、通常はビニールシートで作られた堰(せき)にためて作業後、回収する、と除染のガイドラインで定められている。
ところがその日は、信じられない指示が現場責任者Aから飛んできたという。
「Aの指示で、ポリタンクに回収した洗浄水をそのまま垂れ流しました。水は周囲の田畑にまで流れていった。田んぼには稲が植えられて穂になっていたので、『いいのか、大丈夫か』と、不安になりました」
その後も、「垂れ流し」は何度も行われたという。
高圧洗浄すると、多いときで堰に100リットル以上の汚染水がたまる。すべてを処分場へ運び出すためには300リットル程度の大型ポリタンクが必要となる。
だが、いつも現場で用意されていたポリタンクは18リットル用で5個ほど。まったく計算が合わないのだ。
普通、堰にためられた汚染水は、ポンプを使ってポリタンクに移され、運搬される。この工程を汚染水を垂れ流さなかった“証明”として除染業者が写真撮影。市へ提出することになっているが、実はポンプの電源を入れず、“ヤラセ”で撮影していた。
さらに証明として写真だけでなく、除染で出た汚染水も必要になるという。
「タンクに移した汚染水に凝集沈降剤を入れ、沈殿物を取り除きます。それをフレコン(袋状の包材)に入れ、残った水の線量を測定し、基準値以下であれば、流し捨てることができます」(田村市原子力災害対策課)
吉田さんらによると、問題の現場では、単なる水道水をポリタンクに入れ、土などで汚れをつけて“偽装”した汚染水を提出していたというから悪質だ。
「ガイドラインを守ると手間がかかるので、現場責任者のAがデタラメを指示していました。チェックは適当なので、やりたい放題でした」(吉田さん)
こうした行為はいつも、チェックの目を巧妙にかいくぐって行われたという。吉田さんと一緒に作業したBさんが振り返る。
「牛舎の洗浄水を垂れ流したときは、責任者に『監理員はまだ来ないから、今のうちだ』と言われました」
汚染水、田畑にぶちまける"手抜き"マニュアル入手
デタラメ除染がはびこる被災地
(週刊朝日 2013年12月20日号配信掲載) 2013年12月11日(水)配信
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ここで出てくる「監理員」とは、除染作業の手順設定、見回り、放射線量の計測などの役目を担う人たちのことで、いわば除染の「お目付け役」だ。
除染の元請けとなっている田村市復興事業組合と市の職員が見回りを担当し、現場の作業員たちは慣例で彼らを「監理員」と呼んでいたという。詳しい理由は後述するが、現場責任者Aは「監理員らの見回り行動をすべて把握し、盲点を突いていた」(Bさん)という。
監理員らは民家や牛小屋の周囲は入念にチェックするが、田畑は管轄外。
だから“汚染水”をぶちまけてもばれなかった。
牛小屋の持ち主は怒りをあらわにした。
「うちは以前から牛を20頭ほど飼っていて、ようやく出荷できるようになったばかりなのに……。田んぼでは今年も米を作り、井戸水も使っていた。困ります」
池本さん宅の近所のおばあさんも困惑気味だ。
「うちは自分が食べる分だけですが、畑を今も耕しています」
デタラメ除染の手口は、ほかにもある。Bさんは筆者に、〈監理員がチェックするポイント〉と題された一枚の紙を差し出した。
そこには、民家での除染作業のときに重点的に作業の対象とする、15項目が列挙されていた。
つづく
===========================
自家用の畑にぶちまけるんだから、殺人罪を適用したら?
デタラメ除染がはびこる被災地
(週刊朝日 2013年12月20日号配信掲載) 2013年12月11日(水)配信
民家の庭に“放射能ガラクタ”を埋めるという前代未聞の不法投棄事件が本誌のスクープで発覚し、被災地は大揺れだ。だが、闇はまだまだ深い。告発した作業員が、除染で出た“汚染水”を田畑に垂れ流したことも明かしたのである。背景には「お目付け役」と癒着した、除染現場の腐敗があった──。
ジャーナリスト今西憲之+本誌取材班
内部告発を寄せた除染作業員の吉田慎三さん(仮名=40代)と、一緒に作業したBさんの2人が本誌に対し、さらなる「デタラメ除染」を告白した。
それは今夏、福島県田村市東部にある牛小屋を除染しているときに起こったという。牛小屋は家の庭に汚染ガラクタを埋められた被害者、池本正博さん(仮名)宅のすぐ近くだ。
その日は屋根などについた放射性物質を洗い流すため、水を使った高圧洗浄を実施していた。
洗浄に使った水は汚染されているため、通常はビニールシートで作られた堰(せき)にためて作業後、回収する、と除染のガイドラインで定められている。
ところがその日は、信じられない指示が現場責任者Aから飛んできたという。
「Aの指示で、ポリタンクに回収した洗浄水をそのまま垂れ流しました。水は周囲の田畑にまで流れていった。田んぼには稲が植えられて穂になっていたので、『いいのか、大丈夫か』と、不安になりました」
その後も、「垂れ流し」は何度も行われたという。
高圧洗浄すると、多いときで堰に100リットル以上の汚染水がたまる。すべてを処分場へ運び出すためには300リットル程度の大型ポリタンクが必要となる。
だが、いつも現場で用意されていたポリタンクは18リットル用で5個ほど。まったく計算が合わないのだ。
普通、堰にためられた汚染水は、ポンプを使ってポリタンクに移され、運搬される。この工程を汚染水を垂れ流さなかった“証明”として除染業者が写真撮影。市へ提出することになっているが、実はポンプの電源を入れず、“ヤラセ”で撮影していた。
さらに証明として写真だけでなく、除染で出た汚染水も必要になるという。
「タンクに移した汚染水に凝集沈降剤を入れ、沈殿物を取り除きます。それをフレコン(袋状の包材)に入れ、残った水の線量を測定し、基準値以下であれば、流し捨てることができます」(田村市原子力災害対策課)
吉田さんらによると、問題の現場では、単なる水道水をポリタンクに入れ、土などで汚れをつけて“偽装”した汚染水を提出していたというから悪質だ。
「ガイドラインを守ると手間がかかるので、現場責任者のAがデタラメを指示していました。チェックは適当なので、やりたい放題でした」(吉田さん)
こうした行為はいつも、チェックの目を巧妙にかいくぐって行われたという。吉田さんと一緒に作業したBさんが振り返る。
「牛舎の洗浄水を垂れ流したときは、責任者に『監理員はまだ来ないから、今のうちだ』と言われました」
汚染水、田畑にぶちまける"手抜き"マニュアル入手
デタラメ除染がはびこる被災地
(週刊朝日 2013年12月20日号配信掲載) 2013年12月11日(水)配信
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ここで出てくる「監理員」とは、除染作業の手順設定、見回り、放射線量の計測などの役目を担う人たちのことで、いわば除染の「お目付け役」だ。
除染の元請けとなっている田村市復興事業組合と市の職員が見回りを担当し、現場の作業員たちは慣例で彼らを「監理員」と呼んでいたという。詳しい理由は後述するが、現場責任者Aは「監理員らの見回り行動をすべて把握し、盲点を突いていた」(Bさん)という。
監理員らは民家や牛小屋の周囲は入念にチェックするが、田畑は管轄外。
だから“汚染水”をぶちまけてもばれなかった。
牛小屋の持ち主は怒りをあらわにした。
「うちは以前から牛を20頭ほど飼っていて、ようやく出荷できるようになったばかりなのに……。田んぼでは今年も米を作り、井戸水も使っていた。困ります」
池本さん宅の近所のおばあさんも困惑気味だ。
「うちは自分が食べる分だけですが、畑を今も耕しています」
デタラメ除染の手口は、ほかにもある。Bさんは筆者に、〈監理員がチェックするポイント〉と題された一枚の紙を差し出した。
そこには、民家での除染作業のときに重点的に作業の対象とする、15項目が列挙されていた。
つづく
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自家用の畑にぶちまけるんだから、殺人罪を適用したら?