気まぐれ何でも館:(569)至福の旅びと(篠弘歌集)(7)
この国の人は会ふたび名刺出し四川料理に賑にぎしけれ
天秤に石材下げてひざまづくをとめの胸の弾めるを見つ
土均す細きうなじに光る汗圃田(ほでん)に生くる人のまぶしさ
この道も拡がらむとす家あとのくれなゐの泥に豚つるみあふ
中庭にブーゲンビリアの花はみち則徐(そくじょ)を祀る空のむらさき
うつうつと時代は移るクーニャンの電話に媚ぶる舌ながき声
発言を短く区切り通訳をされゆくわれのことば噛みしむ
歴史的区分を問へば立ち上がり韓国語のみの応酬となる
のっぽビル増えて疾風(はやて)に砂走り狭くなりたるすずらん通り
口づけをそそるかたちにをみなより貰ひ火うくる昼の茶房に
13.11.30 抱拙庵にて。