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 田坂広志 「風の便り」 特選  第118便
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 「進化」の本質


 ある会議で、二人の編集者が議論をしていました。

 「本の未来」についての議論でした。

 一人の編集者は、こう語りました。


  本という情報メディアは、決して無くならない。
  「本をひもとく」という言葉のように、
  あの頁をめくる感触、紙の手触り、掌に伝わる本の重さ、
  そして、本を読み終わって、扉を閉じるときの余韻。
  そうした素晴らしい体験を与えてくれる本というメディアは、
  どれほど技術が発達しようとも、決して無くならない。


 これに対して、もう一人の編集者は、こう語りました。


  すべてのものは進化していく。
  いずれ、本というメディアも進化して、電子ブックになる。
  いや、その本やブックという概念も無くなる。
  いまに、眼鏡のような情報デバイスをつけただけで、
  世界中の書籍や雑誌、新聞などを読める時代が来る。


 どちらも心惹かれる、二つの意見。

 この編集者の議論を思い出すとき、
 遠く離れた二つの意見を結ぶ
 一つの言葉が、心に浮かびます。


  進化とは、世界の多様化のこと。

  そして、多様化とは、

  世界が、可能性を広げていくこと。
  世界が、自由を獲得していくこと。


 その言葉が、心に浮かぶのです。


 2003年8月18日  田坂広志

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TPPにこだわるようですが、可能性を狭め、自由を失うようになると思いますね。何でアメリカが必死になってるかを考えれば自明と思います。