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 田坂広志 「風の便り」 特選  第111便    
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 最高の「才能」


 学生時代、ジャズを演奏する友人がいました。
 彼に、ギタリスト、ウェス・モンゴメリーの
 あるレコードを持っているかと尋ねたときのことです。

  そのレコードなら、2枚、持っている。

 その言葉が返ってきました。

 1枚のレコードを買う金にも不自由していた学生時代のこと、
 その返事に小さな驚きを感じながら、彼の顔を見ると、
 少し恥ずかしそうな表情を見せながら、言いました。

  いや、彼の演奏を真似しようとして、
  何度も同じ曲を聴いていたら、
  レコードが擦り切れてしまったんだよ。

 それから30年余りの歳月を経て、
 いまは、プロのジャズ・ギタリストとして活躍する彼。

 その彼が、ステージで、
 心から演奏を楽しんでいる姿を見るとき、
 一つの思いが浮かんできます。

  夢中になる力。

 それは、もしかすると、
 天が、我々に与えてくれる
 最高の才能なのかもしれない。

 その思いが、浮かんでくるのです。

 2003年6月23日
 田坂広志

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田坂さんは夢中になる力と言っていますが、夢中になる心は大人も子供も持っています。それを誉めて力にさせるどころか、周りがよってたかって潰しているのが大方の現状と思います。