気まぐれ何でも館:(560)美しく愛しき日本(岡野弘彦)(15)
常(つね)いのることなき妻が 夜ごと祈る。しづまりがたき 海原の霊
野にやまに満ちてあそびし幼声。ひびかずなりし村を わが行く
亡き人をなげく夜ごとに 橘の花香(はなが)くるしく われを責めくる
いくさの後 易(やす)きに付きて生きにけり。ああ海やまも地(つち)も汚(けが)れぬ
岡の家に家族やすらぎ 田居に稲はぐくみ生きし 弥生びと愛(を)し
六道の辻にさすらひ立ちまよふ 末世の民と われらくるしむ
役人(つかさびと)・政治家(まつりごとびと) 真(まこと)なき世に生きて 民は何たのむべき
天意より人意この国をほろぼさむ。議事堂はただ 政争の場ぞ
親ゆづり 祖父(おほぢ)ゆづりの 政治家(まつりごとびと)
世に傲(おご)り 国をほろぼす 民を亡ぼす
地に低く花咲き垂るる卯のはなの 雨にうたるる 道を来にけり
地震(なゐ)ゆりて 里山に咲く木の花の みなしろじろとなびくさびしさ
誰びとか民を救はむ。天皇(すめろぎ)は老いの身ふかく 躓きます
13.9.27 抱拙庵にて。