なぜ日本メーカーは出さないのか

コードレス掃除機に見る「プライド」の意味

西 雄大

2013年9月26日(木)

 コードレス掃除機の市場が活況だ。大手家電量販店のビックカメラによると縦型コードレス掃除機の販売台数は、前年比30%の伸びで推移している。市場をけん引するのは欧州勢だ。英ダイソンは9月13日に新型コードレス掃除機「DC62」を発売。スウェーデンのエレクトロラックスも10月1日に「エルゴラピード・リチウム」を投入する予定だ。

 両社とも世界で最初に新製品を発売する国として日本を選んだ。ダイソンでモーター製造の責任者を務めるエイドリアーノ・ニロ氏は「日本はどの国よりも清潔好き。世界でも都市部では住宅が狭くなっているので、日本で売れたら海外でも受け入れられる」と話す。ダイソンのDC62の店頭価格は6万9800円、エレクトロラックスは3万9800円。エレクトロラックススモールアプライアンス事業部のヘンリック・バーグストロームプレジデントは「日本は世界一美味しい市場。消費者は、高い品質に対してきちんと対価を支払ってくれる」と話す。

 これまで縦型コードレス掃除機は、コード付きのメイン掃除機の補助役、といった使い方が主流だった。電池のもちが十分でなく、吸引力も弱いというイメージが強く、階段や2階など、メイン掃除機の行き届かない場所を掃除する2台目需要が主だった。

 ダイソンやエレクトロラックスの新製品はそうではない。両社はメイン掃除機の需要を狙っている。「働く女性は平日にサッと掃除するには、押し入れから出さなければならない従来型の掃除機は面倒だ。コードレスなら短時間で掃除を済ませられる」(エレクトロラックスのバーグストローム氏)。デザインに優れた壁掛け台や専用の充電台を用意し、リビングにも置いても違和感がないようなデザインにした。

 コードレス掃除機が主役に昇格するための最大の課題は稼働時間。従来のコード付きの掃除機と比べても吸引力を落とさず、各部屋をくまなく掃除できるだけのパワーが求められる。

 ダイソンの新製品は、ソニー製のリチウムイオン電池を採用し、独自開発のモーターと組み合わせている。モーターの力を最大限引き出せるように電池のプログラムを工夫した。

スイッチ工夫して電池切れ防ぐ

 稼働時間を有効に使うため、スイッチにも工夫を凝らした。ダイソンのDC62の連続稼動時間は20分。20分程度しか使えないと聞けば短く感じるがどうだろうか。

 ダイソンはコードレス掃除機の発売前に日本の家庭を訪問し、どのように掃除がされているのか数か月かけて調査したという。すると、掃除にかける時間のうち、実際にほこりを吸い込んでいる時間は意外と短く、スイッチを入れたまま、家具を移動させたり吹き掃除をしている、いわゆる「空ふかし」状態が長いことに気づいた。

 そこで従来型の掃除機のように「入」と「切」ではなく、電動ドリルのように、使う時だけレバーを押し続け、指を離せば電源が切れるようにした。

日系メーカーは参入せず

 このように両社とも、縦型コードレス掃除機に対して消費者が従来もっていた「偏見」を取り除こうと必死だ。販売現場の動向を見れば、こうした努力が徐々に実を結び始めているのがわかる。では日本メーカーはどうしているのか。

 シャープの小幡尚令ランドリーシステム事業部商品企画部部長は「コードレス掃除機は20年以上前からの夢。だが我々が考える吸引力は現状の技術だと作れない」と話す。今年2月に発売したコードレス掃除機「EC-DX100」は、コードレスだが、ダイソンやエレクトロラックスのような縦型ではなく、本体と吸い込みノズルがホースで連結された、従来のキャニスター型。

 部屋を移動するたびに電源プラグを抜き差しするコード付きよりはいいが、機動性は縦型に比べてよいとはいえない。それでも、シャープが考える吸引力は、縦型コードレスでは実現できなかったのだという。

 パナソニックも10月にキャニスター型のコードレス掃除機を発売する。シャープと同様の考えでダイソンのような縦型コードレス掃除機を発売する予定はないという。

 「家電メーカーとして、あんな商品を掃除機として謳うことはできない」

 米iRobot社が開発した掃除ロボット「ルンバ」が登場して久しいが、いまだにある家電メーカーの幹部はこう言ってロボット掃除機分野に追随しようとしない。おそらくダイソンやエレクトロラックスの縦型コードレスについても、これと似たような「家電メーカーとしての矜持」が製品追従を妨げている側面は大きいように見える。

求める品質レベルに差

 一定の性能を死守しようとするのは、メーカーとして不可欠な姿勢だ。だがそれがもし、消費者が求める品質の許容範囲とかい離していたら…?

 ビックカメラ赤坂見附店にはコードレス掃除機の専用コーナーが設けられている。エレクトロラックスやダイソンのコードレス掃除機がオレンジや青などカラフルな機種を陳列している。同店で掃除機コーナーを担当する小坂政志氏は「コードレス掃除機はエレクトロラックスやダイソンの指名買いばかりで我々に性能を聞いてくることはあまりない」と話す。

 小坂氏によると、デザインや色が気に入って、指名買いにつながるのだという。「使っている自分がかっこ良いかどうかが思えるかが選ぶポイントになっている」(小坂氏)

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家具類がゴチャゴチャしている我が家にはぴったりです。

そのうち値も下がり、吸引力もアップするでしょう。待ちですな。