気まぐれ何でも館:(552)美しく愛しき日本(岡野弘彦)(7)
ミサイルの来むかふ空に 咲きみつる 二千九年四月四日の桜
(足立註:ミサイル=北朝鮮の発射するもの)
元寇のいくさの先手(さきて) 高麗びとの性(さが)のむごさは 世々に伝へき
島のいくさに むごく果てたる友の顔。 つね若くして われを責めくる
悔しきは 碧落の涯にたたかひて 阿修羅のごとく われは死なざりき
絵馬堂にしのびきて 少年はかなしめり。日清・日露のたたかひの絵馬
まぼろしの神を ひたぶるに彫(ゑ)りいでし 天平びとのこころ恋ほしき
われつひに 修羅におちゆく身なれども 桜を見れば 心なごみぬ
いとけなく雛まつる子よ。わが庭のしだれ桜の 下につどへり
幼らは桜の下にうつつなし。このかなし子に つつがあらすな
誰びとか民を救はむ。ガンジーの映画を見つつ 涙垂れくる
枝垂(しだ)れ咲くくれなゐ深い糸桜。黄砂の風に 身をもみて耐ふ
徒手空虚 身を守るべき何もなし。桜とともに 果てゆかむかな
後の世に われをかなしむ人あれな。今生の花 あはれ散りゆく
13.8.4 抱拙庵にて。