アベノミクス相場に小泉改革後型リスク 異次元緩和 市場好感、消費者は?

 前日の日銀の「異次元緩和」を好感した株式市場。日経平均株価は5日、一時1万3000円台を回復した。だが、就任100日を超えた安倍晋三首相の内心は複雑かもしれない。「消費者のことを考えれば、株高に浮かれてはいられない」と極めて冷静に眺めているのではないだろうか。

 先月下旬発表になった2月の貿易統計。輸出数量指数が前年同月に比べ16%低下した。財政・金融・産業の各政策を総動員し、日本をデフレ脱却へと導こうというアベノミクスにとって目下、最大の敵は輸出の減少だ。

 輸出減、アベノミクスに最大の敵

 1ドル=80円近辺から96円台へと、この5カ月近くで15円以上、下落した円の対ドル相場。円安が加速したのに輸出が減ったのはなぜか。中国や欧州を中心に海外景気が低迷しているためだ。

 円安は輸出企業の手取り収入の増加をもたらすが、企業が販売計画を変更するのは、たやすくはないから、一般的には海外で日本製品が値下げされるまでには、半年から1年程度のタイムラグが必要とされる。

 多くのエコノミストの間では、すぐに輸出は伸びなくても、いずれ価格競争力の向上による輸出数量の増加、いわゆる価格効果は表れるとみられている。これが期待されているアベノミクス効果の一つでもある。

 ところが、SMBC日興証券の宮前耕也エコノミストは、「数量が回復する保証はない」と指摘する。円高だろうと円安だろうと、「海外の現地価格は大きく動かない」とみるためだ。

例えば、当時の小泉純一郎首相が唱えた構造改革を受けて円相場が1ドル=101円台から124円台に下落した2005年1月から2007年6月まで。海外に輸出される財の価格を対象とした日銀の輸出物価指数をみると、円ベースは112.7から125.8に1割あまり上昇したが、現地通貨ベース(契約通貨ベース)は100.8から99.7とほとんど変わらなかった。円安による手取り収入の増加を原資とした日本製品の「円安(ドル高)還元セール」が、海外であまり広がらなかったことが読み取れる。

 品目別で、この間の現地通貨ベースの価格推移をみると、輸送用機器(自動車)の値下がり率は1%あまりにとどまった。大幅な値下げが難しいというコスト構造や電気機器などに比べ在庫として抱えても陳腐化しにくいという製品性が影響しているとみられる。

 電気・電子機器は14%値下がりし、価格効果が働く余地がある製品といえる。しかし、スマートフォン(スマホ)販売の伸び悩みにより日本では、「電子部品・デバイス工業」の在庫が2年ぶりの水準に積み上がっており、当面は生産の活発化は見込みにくい。電気・電子機器は05~07年には国内でも値下がりしており、世界的に競争環境の厳しさがうかがえる。

 円安でも現地価格を下げなければ、企業のマージン(利幅)は増えるため、1株利益(EPS)を重視する株式市場の投資家にとっては好都合だろう。

 だが、輸出数量が増えなければ、日本経済全体には円安の恩恵は及ばない。その兆しはすでに表れている。日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観、3月調査)は、大企業も中堅企業も中小企業も、さらに製造業、非製造業問わず、13年度の設備投資計画が前年度比マイナスだった。異次元緩和は、企業の設備投資意欲を刺激するのが狙いの一つだが、それが成功しなければ、国内景気の回復を伴わない資産バブルのリスクが高まる。

==============================

先日も書いたように、今の経済はこうすればこうなる的なものではないんですが、市場と消費者の損得が背反になっているようですが、安倍ちゃんはどう舵をとるんでしょうか。