インタビューの達人 阿川佐和子さん 極意は面白そうに聞く
2013年2月9日 朝刊
テレビ、ラジオ、雑誌など多様なメディアで活躍している作家でエッセイストの阿川佐和子さん。昨年は雑誌のインタビュー経験をもとに、人の話を聞く極意をまとめた「聞く力 心をひらく35のヒント」(文春新書)がミリオンセラーとなる大ヒットとなり、今も売れている。自らの冠番組「サワコの朝」(TBS、土曜午前7時半)の収録現場に阿川さんを訪ね、“インタビューの達人”にインタビューを試みた。 (山岸利行)
二〇一一年十月にスタートしたトーク番組「サワコの朝」。毎回さまざまなゲストを招いて阿川さんが話を聞き出す。この日は歌舞伎俳優・中村勘九郎がゲスト。昨年暮れ、父・勘三郎さんを亡くした勘九郎を気遣いながらも親子関係、弟・七之助との兄弟関係などを自然なトークで引き出していく。
収録を終え、控室に戻ると「東京新聞、私とってるの。独特の朝刊運勢欄が参考になるし、原発報道も頑張ってる」。気さくなしゃべりでこちらの懐にすっと入ってくる人柄は、テレビなどで見る阿川さんそのもの。
阿川さんといえば、二十年続く週刊文春の対談企画「この人に会いたい」が有名。「(番組が)文春の映像版だと気持ちの整理がつかない」と、ゲストの心の中にある音楽を紹介するアイデアを自ら提案、番組に取り入れて特徴を出している。
「質問項目などのメモは一切持たないことにしてます。その方が話に集中できる。持っているとそっちに気をとられる」と阿川さん。ゲストが心を開かないのが見えてくることもあるといい、真剣勝負だ。
ミリオンセラーが出にくい時代に大ヒットしている「聞く力」。その理由は?
「アカデミックなイメージのないアガワが新書を出したことに意外性があった」と謙遜しながら、「作家の吉永みち子さんが『発信力が問われる時代に、人の話を聞くのもコミュニケーション能力と教えてくれたのが、“聞く力”』とテレビでおっしゃっていた。そうだったんだと、初めて気がつきました」。
「一億総ツッコミ時代」ともいわれ、誰もが不平不満をどこかにぶつけていたい社会。そんな空気だからこそ、「聞く力」が輝くのも確かだろう。
番組収録では「ここまで話すつもりはなかった」「阿川さんだからついしゃべっちゃった」と言って気分よく帰るゲストも多いという。では、気持ちよく話してもらう「阿川マジック」とは?
「お世辞を言う必要はないんです。相手の気持ちを考えながら、面白いと思ったら面白そうに聞く。お客さまに心地よくなってもらうことがまず第一歩。『おれの話、そんなに面白い?』と、しゃべる側がうれしくなっていく形が一番いいのだと思います」
とはいえ、「どこでこけるか分からない」のがインタビュー。文春のインタビューを始めて間もないころ、「日本画家・小倉遊亀さんにお会いした時、十五分で『終わりにしましょう』と言われて…。最低の落第インタビューでした」。
インタビューの仕事でこれまでに会った人は千人を優に超す。うまくいかずもう辞めようかとの思いが頭をよぎることもあるというが、「次に会った人とうまくいくともうちょっと続けようかなと。こういう仕事をしていなかったら絶対会えない人もいる。続けていてよかったと思います」。
阿川さんへの取材を振り返ると、事前に考えた質問のメモにしきりに目を落とし、誰もが聞きそうな質問が目立ち、鋭く迫る問いかけも少ない自分のインタビューはまだまだ未熟。テクニック的な部分は別にして、構えることなく「あなたに興味ありますよ」という雰囲気が自然ににじみ出ている阿川さんの人柄が“インタビューの達人”としての重要な資質なのかもしれない。
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さわやか佐和子さん、好きだっちゅ。
2013年2月9日 朝刊
テレビ、ラジオ、雑誌など多様なメディアで活躍している作家でエッセイストの阿川佐和子さん。昨年は雑誌のインタビュー経験をもとに、人の話を聞く極意をまとめた「聞く力 心をひらく35のヒント」(文春新書)がミリオンセラーとなる大ヒットとなり、今も売れている。自らの冠番組「サワコの朝」(TBS、土曜午前7時半)の収録現場に阿川さんを訪ね、“インタビューの達人”にインタビューを試みた。 (山岸利行)
二〇一一年十月にスタートしたトーク番組「サワコの朝」。毎回さまざまなゲストを招いて阿川さんが話を聞き出す。この日は歌舞伎俳優・中村勘九郎がゲスト。昨年暮れ、父・勘三郎さんを亡くした勘九郎を気遣いながらも親子関係、弟・七之助との兄弟関係などを自然なトークで引き出していく。
収録を終え、控室に戻ると「東京新聞、私とってるの。独特の朝刊運勢欄が参考になるし、原発報道も頑張ってる」。気さくなしゃべりでこちらの懐にすっと入ってくる人柄は、テレビなどで見る阿川さんそのもの。
阿川さんといえば、二十年続く週刊文春の対談企画「この人に会いたい」が有名。「(番組が)文春の映像版だと気持ちの整理がつかない」と、ゲストの心の中にある音楽を紹介するアイデアを自ら提案、番組に取り入れて特徴を出している。
「質問項目などのメモは一切持たないことにしてます。その方が話に集中できる。持っているとそっちに気をとられる」と阿川さん。ゲストが心を開かないのが見えてくることもあるといい、真剣勝負だ。
ミリオンセラーが出にくい時代に大ヒットしている「聞く力」。その理由は?
「アカデミックなイメージのないアガワが新書を出したことに意外性があった」と謙遜しながら、「作家の吉永みち子さんが『発信力が問われる時代に、人の話を聞くのもコミュニケーション能力と教えてくれたのが、“聞く力”』とテレビでおっしゃっていた。そうだったんだと、初めて気がつきました」。
「一億総ツッコミ時代」ともいわれ、誰もが不平不満をどこかにぶつけていたい社会。そんな空気だからこそ、「聞く力」が輝くのも確かだろう。
番組収録では「ここまで話すつもりはなかった」「阿川さんだからついしゃべっちゃった」と言って気分よく帰るゲストも多いという。では、気持ちよく話してもらう「阿川マジック」とは?
「お世辞を言う必要はないんです。相手の気持ちを考えながら、面白いと思ったら面白そうに聞く。お客さまに心地よくなってもらうことがまず第一歩。『おれの話、そんなに面白い?』と、しゃべる側がうれしくなっていく形が一番いいのだと思います」
とはいえ、「どこでこけるか分からない」のがインタビュー。文春のインタビューを始めて間もないころ、「日本画家・小倉遊亀さんにお会いした時、十五分で『終わりにしましょう』と言われて…。最低の落第インタビューでした」。
インタビューの仕事でこれまでに会った人は千人を優に超す。うまくいかずもう辞めようかとの思いが頭をよぎることもあるというが、「次に会った人とうまくいくともうちょっと続けようかなと。こういう仕事をしていなかったら絶対会えない人もいる。続けていてよかったと思います」。
阿川さんへの取材を振り返ると、事前に考えた質問のメモにしきりに目を落とし、誰もが聞きそうな質問が目立ち、鋭く迫る問いかけも少ない自分のインタビューはまだまだ未熟。テクニック的な部分は別にして、構えることなく「あなたに興味ありますよ」という雰囲気が自然ににじみ出ている阿川さんの人柄が“インタビューの達人”としての重要な資質なのかもしれない。
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さわやか佐和子さん、好きだっちゅ。