海知らず」のアサリ開発 陸で養殖の技術、実用化へ

棚から引き出した生育ケースを持つ藤芳義裕さん。アサリの稚貝だけがぎっしり詰まっている=上天草市

熊本のアサリ漁獲高
 【安倍龍太郎】引き出し開けたら、アサリがぎっしり――。熊本県上天草市の会社が、砂を使わないアサリの養殖技術を開発した。陸上で生まれ育ったアサリは「海知らず」。砂を掘り返す手間もなく、簡単に出荷できる。アサリの漁獲高が激減する中、実用化に向けて動き出している。

 開発したのは二枚貝の養殖や研究を手がける合同会社「FUバイオカルチャー」社長の藤芳義裕さん(59)。アサリ養殖の研究プラントでは高さ2メートルほどの棚に、40センチ四方の生育ケース約120個が隙間なく並べられ、中には幅1センチほどのアサリがびっしりと詰まる。砂は入っていない。

 最上部の生育ケースには、引き込んだ海水が注がれる。底に開いた数ミリの穴から、さらに下のケースへと海水が行き渡る仕組みだ。海水にはプランクトンが含まれ、アサリにエサを与える必要もない。

 プラントの隣のクルマエビの養殖場で使った海水も入れる。見かけは汚れているが、プランクトンが大量に含まれるからだ。「二枚貝にとって『汚れ』はエサ。アサリに与えることで浄化作用もある」

 藤芳さんによると、アサリは本来、体を縦方向に安定させるため、砂の中に潜る。貝殻から海中に向けて2本の管を伸ばし、海水ごとエサのプランクトンを吸い込んでいく。

 生育ケースでは、アサリを隙間なく埋めることで「アサリに砂の中にいるように勘違いさせる」。これでアサリは縦方向を維持するようになるという。「養殖に砂は必需品じゃないんです。貝は殻の中に砂が入ると嫌がるぐらいだから」

 砂がないため、ケースを引き出すだけで出荷でき、料理に砂が含まれることもない。

 アサリの養殖は一般的には稚貝を浜辺にまいて成長させ、1~2年後に出荷する。県によると、完全養殖技術は数十年前に確立されたが、貝1個あたりの販売単価は数円程度。大量養殖しない限り、採算が合わない。藤芳さんは、生育ケースを積み重ねることで面積当たりの養殖量を増やし、解決の糸口を見いだした。

 県内外の流通業者からは「大規模なプラントを造っては」と、出資の申し出もあったという。試食した業者からは「味も濃厚」と好評で、藤芳さんはブランド化も考えている。「将来は全国に発送し、アサリをさらに身近な食材にしたい」と話している。

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シジミはどうなのかしらん。淡水だろうだけど、似たような理屈で。シジミの味噌汁はうまいんだよね。