気まぐれ何でも館:(513)三木羅風(トラピスト歌集)(5)
春の夜は蛙(かはづ)なくなりしめやかの雨にまぢりて遠くはるかに
祈(いのり)してやすむばかりになりたりと思へば楽(たの)し心ゆくまで
目覚(めざ)むれば日うららかに差入(さしい)りて鳥の声する山の一つ家(や)
人来(きた)り種(たね)を蒔(ま)き居る春日和(はるびより)畑(はたけ)の土のやはらかきかも
常に来て春鳴く鳥よ汝(いまし)には神の惠(めぐみ)の深くあれかし
いつのまに照りそめにけむ春の月昨日(きのふ)も今日(けふ)も中空(なかぞら)にあり
月かげのさし入るなべに聖堂(せいだう)の屋根の円(まろ)きがほの見ゆるかな
寝(い)ぬる夜(よ)に月影(つきかげ)させよ円(まど)かなる夢を結(むす)ばむ淡明(うすあか)りして
いつまでか照る月ならむ夜(よる)更(ふ)けて山の上には星の移るを
反古(ほご)ちらし集めし中にある我(われ)は淋(さび)しくもあらず春の夜更(ふ)けて
青空(あをぞら)のひろきを思へ我神(わがかみ)の裳裾(もすそ)の如し朝明(あさあけ)の空
12.10.20 抱拙庵にて。