元内閣官房参与・田坂広志が語る原発危機の真実

筆者は、福島第1原発事故を受け、内閣官房参与として2011月3月29日から9月2日まで、官邸において事故対策に取り組んだ。そこで、原発事故の想像を超えた深刻さと原子力行政の無力とも呼ぶべき現実を目の当たりにし、真の原発危機はこれから始まるとの思いを強くする。これから我が国がいかなる危機に直面するか、その危機に対して政府はどう処するべきか、この連載では田坂氏がインタビューに答える形で読者の疑問に答えていく。

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授。
1974年東京大学工学部原子力工学科卒業、1981年同大学院修了。工学博士。1981年から90年にかけ、民間企業にて青森県六ヶ所村の核燃料サイクル施設の安全審査プロジェクトに従事し、米国のパシフィックノースウエスト国立研究所で高レベル放射性廃棄物の最終処分プロジェクトに参画する。3月11日の福島原発事故に伴い、内閣官房参与に任命され、原発事故への対策、原子力行政の改革、原子力政策の転換に取り組む。著書多数。近著に『官邸から見た原発事故の真実』

記事一覧2012年10月12日

「原発ゼロ社会」は選択の問題ではない。不可避の現実である

9・11学術会議報告書の衝撃

9月11日、日本学術会議は内閣府原子力委員会に対して「高レベル放射性廃棄物の処分について」という報告書を提出した。最高の学問的権威を持つ組織がこの提言を出したことは、想像を絶する重さを持つ。


2012年9月14日

日本で高レベル放射性廃棄物の最終処分はできない

「最終貯蔵」(terminal storage)方式で未来の世代に選択権を

9月11日に日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分について」という報告書を出した。この中で、「高レベル放射性廃棄物や使用済み燃料については、数十年から数百年の期間、暫定保管をすべきである」との提言...

2012年9月7日

「脱原発」でも原子力技術は衰退しない

政府は「原子力環境安全産業」の創出を

現在、政府は「脱原発依存」政策の具体化を検討を進めている。しかし、有識者の中には「政策を進めると、日本の原子力産業は衰退し、必要な原子力技術が確保できなくなる」との声もある。

2012年8月17日

国民が望む「規制委員会」を実現する3つの方法

「脱原発依存」は法律で定めよ

原子力規制委員会設置法も成立し、原子力規制委員の候補も発表され、いよいよ9月には、原子力規制委員会と、その事務局である原子力規制庁が設置される。元内閣官房参与の田坂広志氏がその規制委員会について提言す...

2012年5月25日

国会事故調は「犯人探し」に陥ることなく、原子力行政の抜本改革を

「3つの視野狭窄」を超え、「原子力行政改革委員会」へと進化せよ

福島第1原子力発電所の事故に関する国会事故調査委員会の調査が大詰めを迎えている。5月28日には当時の首相だった菅直人氏への聴取が予定されている中で、あらためて国会事故調の役割について考えてみる。

2012年4月18日

「地元」の定義が変わり、原発再稼働は壁に突き当たる

「地域エゴ」と「世代エゴ」を超えなければ難題は解決できない

東京電力福島第1原発事故を受け、内閣官房参与として官邸で事故対策に取り組んだ田坂広志。今回は大飯原子力発電所の再稼動でも議論を巻き起こしている「地元」の問題について解説する。

2012年3月2日

原発再稼働に向け政府が乗り越えるべき「三つの壁」

国民は原子力行政が「いつか来た道」を走ることを恐れている

大飯原発の再稼働の問題が注目されている。電力需給の逼迫への危機感から原発再稼働の動きが強まってきた。一方で事故発生から一年を経て福島原発事故の原因究明は道半ばだ。国民は原子力行政が「いつか来た道」を走...

2012年2月8日

「原発事故の最悪シナリオが避けられたのは“幸運”に恵まれたからです」

今、戒めるべきは「根拠の無い楽観的空気」

原子力の専門家である田坂広志氏は内閣官房参与として昨年3月29日から9月2日まで原発事故の対策にあたった。最悪シナリオが避けられたのは幸運に恵まれたからと指摘、原子力行政を根拠のない楽観的空気が取り巻...