気まぐれ何でも館:(512)三木羅風(トラピスト歌集)(4)
  
 風やみてますぐにぞ降る雨の音いとさはやかに思ひけるかも
  
 青空(あをぞら)の晴れわたりたり鶯(うぐひす)のさやかに啼(な)ける朝の一時(ひととき)
  
 鶯のをりをりに啼く昼の日の風のそよぎを聞くぞたのしき
  
 山鳩(やまばと)も啼きそめにけり初夏(はつなつ)の我家(わがや)の裏の松の林に
  
 初夏(はつなつ)の影濃(こ)き路に啼(な)く鳥を木(こ)がくれに聴く午後の一時(ひととき)
  
 海辺(うみべ)にて拾(ひろ)ひし石を手にとりて玉の如くに愛(め)でにけるかも
  
 しばらくは夕(ゆふ)の思(おもひ)にふけらまし水仙の咲く花壇(くわだん)のほとり
  
 牛一つ放(はな)たれてある広き野のかなたに遙(はるか)夕(ゆふ)の日は落つ
  
 夕暮の木(こ)の間(ま)に啼(な)ける鳥の声やはらぎ満ちて草青みたり
  
 静(しづか)なるたたずまひなる聖堂(せいだう)のほとりの夕(ゆふべ)心澄むかも
  
 憂(う)き雲の空にただよふ夕(ゆふべ)なり心にかかる事はあらねど
  
12.10.12 抱拙庵にて。