気まぐれ何でも館:(439) 現代短歌100人20首(31)
小高賢(こだか・けん)1944~。
一族がレンズにならぶ墓石のかたわらに立つ母を囲みて
ゆっくりと菊人形の義経の顔を伝わる一筋の雨
「おう」という意味不明なる音吐けるもみあげの濃きわれの長男
晋樹隆彦(しんじゅ・たかひこ)1944~。
笑みうかべ干瀬(ひし)の彼方をいつまでものぞむ七十路(ななそじ)の悲しみもあらむ
トンボ採りの叔父さんのごとき風采の民俗学者鳥を指さす
(足立註:民俗学者とは谷川健一氏のことで共に宮古を訪れている)
九十九里生れのわれが溺れたり宮古のしずけき海の青さに
欲もなくあくせくとせず日の暮は泡盛をくむこの島の人
三枝昴之(さいぐさ・たかゆき)1944~。
ぎんなんを潰して歩む昼しずかいやはてという思いはしずか
風生れたる者の裔として家族は木の実灯の下に食む
甲斐が嶺の神代桜咲きなむか心で会いて春を逝かしむ
12.4.29 抱拙庵にて。