気まぐれ何でも館:(485) 現代短歌100人20首(28)
香川ヒサ(かがわ・ヒサ)1947~。
飛行士の足形つけてかがやける月へはろばろ尾花をささぐ
人あまた乗り合う夕べのエレヴェーター枡目の中の鬱の字ほどに
フセインを知らざるわれはフセインと呼ばるる画像をフセインと思ふ
神はしも人を創りき神をしも創りしといふ人を創りき
人はしも神を創りき人をしも創りしといふ神を創りき
一冊の未だ書かれざる本のためかくもあまたの書物はあめり
はろばろと広がる草地に牛らゐて神の摂理を咀嚼してゐる
安田純生(やすだ・すみお)1947~。
憤りこらへてあるを腹中に棲む牛蛙鳴き出づるかな
わが怒りこれくらゐなり五百円の湯呑を床に打ちつけて割る
ふた鉢のカトレアにほふ部屋ぬちの空気ふるはせ洟かみにけり
石の身となりてたたずむ観音の御目なづればざらりとしたり
おのが魂入れたるごとく膝の上に爺(ぢぢ)さま小さきバッグを持てり
いづこかの窓とづる音きこえたり夕べの路地に迷ひ入るとき
いつよりか蛸・海鼠などふにやふにやが好物となりこの世を渡る
12.3.31 抱拙庵にて。
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