気まぐれ何でも館:(479) 現代短歌100人20首(22)
  
武井一雄(たけい・かずお)1949~。
  
 葉の裏に雨宿りする虫を見て辿り着くべきところを思う
  
 眼に見えぬ風と真昼の星空も確かに在ると時の告げゆく
  
  
三井修(みつい・おさむ)1948~。
  
 わが膝に眠りいし子が目を覚まし立ちて行きてより体冷えたり
  
 いまだ子は棺に花零(ふ)るかなしみを知らずに夏の潮位見ている
  
 今日ひと日いくつ扉をくぐりしか 木の、硝子の、あるいは心の
  
 われを容れぬ日本に帰心起こらねどいま紅葉の劇(はげ)しかるべし
  
 今宵われを訪ねて耳切りゴッホ来よ怒りをからくも鎮めておれば
  
 アステカの王の悔しみ告げにくる使者ならめ今年最初の燕
  
 キリン舎にキリンは帰り夕暮れの泥濘に黒きキリンの足跡
  
12.2.19 抱拙庵にて。
  


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