気まぐれ何でも館:(478) 現代短歌10人20首(21)
  
沢田英史(さわだ・えいし)1950~。
  
 この空に数かぎりない星がありその星ごとにまた空がある
  
 家族らとメガホン振つたあのころはランディ・バースが神様だつた
  
 夢の世にいちごはうめえぞただ喰らへ閑吟集より苺大福
  
  
島田修三(しまだ・しゅうぞう)1950~。
  
 夕暮れを風立ちたれば躁病(マニー)病む老助教授の離陸せむとす
  
 街の上(へ)に片根を下ろす秋の虹童女(うなゐ)をおぶひつかの間あふぐも
  
 巨きなる睾丸は垂れハスキー犬楚楚たる少女にしたがひ往くも
  
 花十薬(どくだみ)の花しろじろと咲き初めて夏ならむとす豆腐屋の跡地
  
 立つ瀬なき寄る辺なき日のお父さんは二丁目角の書肆にこそをれ
  
 下宿屋の二階三階にひそみゐし能登のブントの行方知らずも
  
  
阿木津英(あきつ・えい)1950~。
  
 産むならば世界を産めよものの芽の湧き立つ森のさみどりのなか
  
 懐中にサックを携帯せし茂吉ふさ子を隠しきりし茂吉よ
  
 魂を拭えるごとく湯上がりの湯気をまとえる乳をぬぐえり
  
 柿の木のうちの力が朱に噴きて結びたりけるこずえこずえに
  
 くさむらのえのころぐさはひもすがら風に汚れて乾きてゆくか
  
12.2.11 抱拙庵にて。
  
http://homepage3.nifty.com/kyousei/essay.html