気まぐれ何でも館:(470) 現代短歌100人20首(13)
  
水原紫苑(みずはら・しおん)1959~。
  
 われらかつて魚(うを)なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる
  
 ロンドンにただ一日(ひとひ)のみさまよひしあれちのぎくのごときわれかも
  
 「くわんおんはわれのごとくにうるはし」と夢に告げ来(こ)し百済びとあはれ
  
 後(のち)の世は果実と言ひし友ありき狂へる鳥のわれはついばむ
  
  
上村典子(うえむら・のりこ)1958~。
  
 とぢ糸は野のみづひきの花の色国文学科書庫二月なり
  
 深爪の痛みのごときと見てゐるはほたるとびかふ故郷(くに)のくさかげ
  
 草ぐさにはらからなきか婚ちかきおとうとすずなわれはすずしろ
  
  
大滝和子(おおたき・かずこ)1958~。
  
 サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい
  
 月齢はさまざまなるにいくたびも君をとおして人類を抱く
  
 ベッドからまた降りたちぬ八時間われなる海をさすらいてのち
  
11.12.17 抱拙庵にて。
  
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