遠藤周作でもこの著者でもカソリックの信者であり、その信念は確固としたものがあるように私などには思えるのですが、非常に柔軟なおつむと心の持ち主のように思います。

曾野綾子の小説は多分読んでないと思いますが、エッセーは好きでこれがどうも11冊目のようです。今書庫で確かめてきました。

この人は世界の貧困な人々を援助しているシスターや神父さんを支援する財団の仕事と、小説家の二足のわらじをはいているんですが、支援が有効に使われているか、あちこちに行ってチェックしているんですね。時にはツアーを組んで、ついでに見にいっている場合もあるようですが。

僕などはとても出来ないことで、安楽な日本の拙宅で怠けながら、ちょっとあちこち寄付をしている程度ですから、好奇心も小説家ですから旺盛ということもあるでしょうが、本当に頭が下がります。

一つ知った驚きは、インドのヒンズーでは4つのカーストにおおきくわかれていて(4番目のカーストは奴隷)、さらにそこに入らない不可蝕賤民(アウトカースト)というのがあることはご存知だと思いますが、アウトカーストの人たち自身によって自分たちを上と下に分けて差別しているということ、さらには1億人くらいのヒンズー社会からはずされている最下層の身分みたいなものがあるということです。起源的にはアフリカから連れてこられた奴隷などです。

著者はもちろんそういうことを笑っているわけではありません。ふつうの人には出来ないような泣き笑い人生をしっかり歩んでいるんですね。少し前に足を骨折して後遺症があるようですが。