気まぐれ何でも館:(467) 現代短歌100人20首(10)
  
林和清(はやし・かずきよ)1962~。
  
 淡雪にいたくしづもるわが家近く御所といふふかきふかき闇あり
  
 春立つとけふ精神のくらがりに一尾の魚を追ひつめにけり
  
 鳥葬の終りしづかに男らが凍れる焚火かこみておりぬ
  
  
吉野弘之(よしの・ひろゆき)1961~
  
 夏の空に雲湧きいたり繋がれて馬はしずかにわれを見ており
  
 たっぷりと歳月を抱くテーブルを挟んで人と向かい合いおり
  
 やわらかき呼吸を抱いて眠りいる部屋に戻りてネクタイを解く
  
  
大塚寅彦(おおつか・とらひこ)1961~
  
 風沈むゆふべの街にすれちがふ少女のうちの永遠(とは)のいもうと
  
 倒されて運ばるるとき天心をはじめて見たるレーニンの像
  
 みづからをひとでと思ふこともなくひとでは一日(ひとひ)波を浴みをり
  
 鳥のため樹は立つことを選びしと野はわれに告ぐ風のまにまに
  
 地球より離れゆけざるかなしみのあらむか月のひかり潤めり
  
11.11.26 抱拙庵にて。


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