気まぐれ何でも館:(464) 現代短歌100人20首(7)
  
紀野恵(きの・めぐみ)1965~。
  
 ふらんす野武蔵野つは野紫野あしたのゆめのゆふぐれのあめ
  
 白き花の地にふりそそぐかはたれやほの明るくて努力は嫌ひ
  
 いちにちが昏ると言うては泣く癖の后ありけり唐朝のすゑ
  
 無沙汰なる神々を招(よ)べシチリアは夏に火を連らね陸(くが)澄み渡る
  
  
森本平(もりもと・たいら)1964~。
  
 丹頂の白きのみどを持つひとよ天啓として声あらしめよ
  
 明日よりは晴耕雨読で過ごさんとさらば哀愁のエリマキトカゲ
  
  
東直子(ひがし・なおこ)1963~。
  
 たった一つの希(ねが)いを容(い)れた胸蒼くかたかたと飲むアーモンド・オ・レ
  
 てのひらにてのひらをおくほつほつと小さなほのおともれば眠る
  
 ははそはの母の話にまじる蝉 帽子のゴムをかむのはおよし
  
 引き出しの奥の小箱にひんやりと汗ばんでいる球根がある
  
 そうですかきれいでしたかわたくしは小鳥を売ってくらしています
  
 まだ眠りたかったような顔をしてじゃあもう帰る、かえるねと云う
  
 好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ
  
 さようなら窓さようならポチ買い物にゆけて楽しかったことなど
  
 海に魚ねむりて遠い声をきく<わたしの鈴を探してください>
  
11.11.5 抱拙庵にて。
  

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