気まぐれ何でも館:(461) 現代短歌100人20首(4)
  
千葉聡(ちば・さとし)1969~。
  
 明日(あす)消えてゆく詩のように抱き合った非常階段から夏になる
  
 殺される役でケントが五秒だけ出ている映画をケントと見に行く
  
 ボクサーであり続けるための海沿いの道を走っているヒロである
  
 ボクサーはラーメンライスを食いながらテレビでバリの海を見ている
  
 ケント死す 交通事故の現場には溶けたピリオドみたいな今日が
  
 ポスターはこの夏に灼け出演者変更のビラ白く貼られる
  
 「おまえにしか書けないものがきっとある」賢人(ケント)のことば寄せかえす海
  
  
小守有里(こもり・ゆり)1967~。
  
 空き瓶に溜まった闇が騒ぎだす週末は髪をひろげて眠る
  
 たったひとり春の井戸汲む祖父のいる故里に張り出す高気圧
  
 父は腕を春野へのこして来たためにわたしはいつも探す目をする
  
 わたくしを証明していく文章の端であかるく灯る印鑑
  
 ほほえみをおくられた日が遠くなる 私は草のように元気です
  
11.10.16 抱拙庵にて。
  

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