気まぐれ何でも館:(460) 現代短歌100人20首(3)
  
大口玲子(おおぐち・りょうこ)1969~。
  
 唐突に眼鏡はづして我を見る君は樹木の視座を持つ人
  
 南湖の量、否、海の量の酒を飲み語らむと逢ふ夕暮はよし
  
 答へられぬ学生に深く立ち入れば星選ぶやうに助詞選びをり
  
 独り来て一人殺せり人生を持ち寄るごときジャズスポットに
  
 蒼天に雲走りをり夏暁(なつあけ)は死ののちも鳥の声が聞きたし
  
  
吉川宏志(よしかわ・ひろし)1969~。
  
 あさがおが朝を選んで咲くほどの出会いと思う肩並べつつ
  
 睡りつつまぶたのうごくさびしさを君のかたえに寝ながら知りぬ
  
 死ぬことを考えながら人は死ぬ茄子の花咲くしずかな日照り
  
 人を抱くときも順序はありながら山雨(さんう)のごとく抱き終えにけり
  
 しらさぎが春の泥から脚を抜くしずかな力に別れゆきたり
  
11.10.9 抱拙庵にて。
  

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