気まぐれ何でも館:(456) 高安国世秀歌鑑賞(4)
  
 わが知らぬ生き方がそこに在るならん朝は憤りさめて思えり
  
 このなだりフランスの兵 かの斜面ドイツ兵眠る万の十字架
  
第二次世界大戦の戦跡を遠望しての作とおもわれる。鎮魂と平和への祈りが伝わってくる。
  
 はじめての炭火が部屋に来る瞬時やさしきものを頬に感じる
  
炭火で部屋の暖房をとらなくなってから久しい。火鉢を囲む家族の団らんのあったかさも今は無い。
  
 若かりし死者思うかな氷菓求めドライアイスの詰めらるる間
  
有能な若い弟子の、突然の死を悼んで詠んだ歌の一つ。
  
 堤防の陰なる部落夕闇に白く聖者のごとくひとつ山羊
  
富山・魚津あたりの漁村の防潮堤で詠んだのであろうか。作者は自宅で2匹の山羊を飼っていたことがあるらしい。
  
 感情の起伏の如く来ては去る雨といえども暖かき雨
  
早春の一雨ごとに行きつ戻りつしながらも、確実に春を運んでくる、木の芽起こしの雨。
  
 帰帆とはつね心打つひたすらに白波立てて帰りくる船
  
11.9.11 抱拙庵にて。