後半くらいから俄然面白くなる。

俳優としての面と福祉家としての面を持ち、両方ともハンパではない。どちらの面でも嫉妬の目で見られがちと思うのだが、実に正直で努力家であり、体当たりでこなしていることが伺える。

「いいってことよ」というセリフは「文五捕物絵図」で若い岡っ引きの文五が、下手人とおぼしき老人をお縄にしようとしたとき、真犯人があがるのだが、必死の抵抗と否認をしていた老人に手荒な真似までしたのである。文五が「とっつぁん、すまねえ」と精一杯の謝罪をしたとき、老人は怒りをあらわにしながら文五に近寄ってくる。けれど文五の眼前までやってくると、何かを飲み込むようにして、このセリフを言うのである。

本当に強い男とは、本当に優しい男でもある。神様のように心底許せないまでも、許しの言葉を言える人間でありたい、と彼は言う。人間は、特に若いときは間違いを犯しがちなものなのだから。