著者は1997年に亡くなっている、言うまでもなく文学座の大女優です。

私は劇場に行って見る芝居は2,3回しか見たことがありません。現在はTVドラマや映画もほとんど見ません。しかしサラリーマンをしていた若い頃、演劇なども勉強しておかないといけないのかと、お能や新劇関係を見だしたことがあるんです。本質的に私はまじめな男なんですね。

しかし、これは私に取り入れるべきものではないと判断して止めました。今になってその判断は私にとって正しかったと思っています。要するに数学に邪魔になるんですね。私の場合は、ですが。

しかし、このレビューでもいくつかやっているんですが、広くエンタテイナーのエッセーは好きで比較的よく読んでいます。

私が子供の頃、とんぼとりや魚釣りに熱中したように、著者は芸者さんの子供で、子供の頃から日常的に芝居を見て楽しむという環境にあったようです。もう芝居というものが体にしみこんでいるんですね。

新劇関係は思想的なものや何やら、エンタテイメントとちょっと違うものが入り込んでいるんですが、著者は楽しい芝居というものに重きを置いていたようですね。

インタビューを編集したものですが、著者のユーモアとちくりとした批判が満載の、文学座50年の歴史がわかるというおもしろい本です。むずかしいことは一切なし。