著者は土木工学(英語をそのまま訳すと市民工学)の技術者で、建設省(現国土交通省)でダム・河川行政に携わってきた。

この本の中心を貫いているテーマは「日本の地形と気象」であり、その視点から日本文明で分からなかったことを次々解き明かしていく。

家康は秀吉のいじめで江戸に移封されるのであるが、そこはどうしようもないかのごとき湿地帯であった。結局利根川を江戸を避けて流れるように大工事をして、現在の東京の基を築いたとか、

水道水に塩素を入れる前には、雑菌が多くて乳幼児死亡率が非常に高く、その後は平均寿命がどんどん高くなったとか、

原子力発電の冷却水を常時大量に流しているが、世界の原発による総合計を考えると海水温度を上げることになっているのではないかとか、

日本人が勤勉であるのは気候のせいで、熱帯、亜熱帯では昼間に勤勉にやるとダウンするらしく、夜の涼しい時は、その地方の人もしゃきっとしているとか、

タクシーの自動ドア、全自動麻雀卓などの日本人のからくり好きは、雪に閉じ込められている冬に、物をじっと眺めているうちにいろんな機能を詰め込んだからくり(一種のロボット)に思いがいたるとか、

情報公開は全ての情報を提出して議論することで、そうするともめ事が減るとか、

そんな話が15章にわたって書いてある、目から鱗の本なのである。