私のような年齢になってくると、好きでよく読む人が各ジャンルに何人もいて、そういう人の未読の本を知ると読みたくなる。

ある程度読むと、この人の書くことは内容こそ違え同じだと、読むことを止めてしまう場合もある。いかに面白くても。

著者を最初に知ったのは10数年前に「聖なる春」で大きな賞をとって家近くの本屋に麗々しく置いてあった時である。ふつう私は小説は読まないのであるが、そんな賞をもらう小説ってどんなもんかいな、と手に取ると小説らしくない小説で即買い、即読み、感心した。人にもすすめた。一時期大学非常勤と塾的なところとWワークの悪戦苦闘の日々を送っていて、その人は塾関係のひとだったから、あの当時からあんまり年数がたってないんですね。ちょっと驚き。

そいでこの本ですが、自分の命の終わるときに聞きたい曲についてのエッセーなんだと思いますが、これで3冊目で最後(彼は近年亡くなったので)だと思います。雑誌に連載していたようですね。

彼は昭和10年生まれですから古い懐かしい歌を多く取り上げています。難しいうたではなく歌謡曲とでも言うのかな。彼自身作詞家でもあった(本職はTVプロデューサー。寺内貫太郎一家なんかをてがけた)ので、歌詞についてのこだわりが半端じゃない。私などは雰囲気で聞いているのですが、この人は歌詞からたちのぼってくるリアルな情緒に感銘するといいますか。。。

そして歌の話しに絡んで結局自分を語っているんですね。自分抜きの文章なんてしょうもないですが、この人の交友関係を含めすごい自分史が所々に織り込まれています。

希有な人を失ったと思います。