★10.10.6 「リンゴが教えてくれたこと」木村秋則、 (日経プレミアシリーズ 46)、を読んで。
無農薬・無肥料の画期的農業における栽培法を提唱している。これは食の問題を世界的な規模で解決すると思われる。
その方法を見つけるのは大変な苦労があったのであるが、これからの人は考え方を受け継いで、野菜の種類、土地の特性に合わせて進化させていって欲しい。
著者は脱サラをしてリンゴの栽培を始める。先入観がないのが幸いした。といってもすぐに成功したわけではない。農薬散布をすると、農家の人は農薬を吸い込むので大変なので、楽しくできるように無農薬でやりだすのである。結局それから11年後に畑全面にリンゴの花が咲くまでは、花すらつけなかった。周辺農家からは総スカンを食っている。
たとえば、リンゴの木の下に雑草が生えてくる。慣行農法では下草は刈れという。ところが結論は夏は地熱の上昇を防ぐために刈らない方が良く、冬は地熱が上昇するように下草を刈るのがいいのである。
いろんな発見があって11年目の成功に至るのであるが、それには自然の観察(結局山の木々や山菜は無農薬、無肥料でうまく育っているので)に基づいている。土はふかふかの山の土のようにし、豆類(空中窒素を根粒に固定する。窒素は肥料になる)を混植することなど。
そしてリンゴの木と話しをするようになる。人間がリンゴを実らすという傲慢を捨て、リンゴの木の立場にたって、手間ひまを惜しまずリンゴの木が喜ぶようにしていくのである。
リンゴの栽培は最も難しいものらしく、リンゴで成功するまで食うために出稼ぎ以外に、米や野菜を栽培するのであるが、それらが全て役立っている。そして11年目の成功になるのである。神さんの人を導くやり方は、まどろっこしいようで実は無駄がない。
著者はこの考え方を普及するために法人化して普及するようになった。韓国などでは日本以上に普及しているそうである。いずれ逆輸入されるのではないか、なんて書いている。
私の持論である数学の研究は手間ひまを惜しまず、毎日研究ノートをつけ、文献を読んだらすぐ使えるように資料化しておくこと(特に論文など。本は赤筋を引いたり書き込みをしたりで良い場合もあるが、コンパクトに理論の要点をまとめておくといい場合もある)など、日々の積み重ねがものを言うということなんであるが、木村さんも手間ひまを惜しまず栽培作物と対話する(気持ちを察する)ようにきめ細かに観察をすることを推奨している。とにかく、やるべきこともやらず、目が節穴であれば、数学の研究にしても、科学・工学でも発明・発見は望めないのである。