私の一番好きなチャイコフスキーの曲は何だろう?恐らく、「交響曲第5番」だろう。聴いた回数も含め
 
ても恐らくNo.1だ。CD(レコード含む)は恐らく10枚以上は持っていたと思う。指揮者だけ挙げれば、
 
カラヤン(2枚)、小澤征爾(2枚)、スヴェトラーノフ、アバド、ショルティー、ストコフスキー、
 
ロストロ・ポービィッチ、その他・・。中でも、スヴェトラーノフの演奏が気に入っている。
 
恐らく、ここまで読んで、「えっ、そっちに行くの?」という人が居るかもしれないが、実に感動的な演奏
 
である。CDを紹介しよう。ポニーキャニオンから販売されているCDで、1990年に東京でのライヴ録音。
 
演奏はロシア国立交響楽団である。驚く事に何と価格は1500円!これは神様のプレゼントと思って
 
早くAmazonで注文して欲しい。イメージ 1
 
1990年に東京で開催された公演は、確か、「チャイコフ
 
スキー生誕150周年記念日本公演」だったように思う。
 
当時、私は、東京に住んでいて、雑誌(ぴあ?)でこの
 
公演の事は知っていたが、家内は興味ないし、チケット
 
が比較的高額ということもあり、結局、聴きに行かな
 
かった。今思えば残念なことをしたと思っている。
 
お金で買えないものの価値を見誤った。恐らく、6月3日(会場:サントリーホール)は涙したに違いない。
 
今CDを聞いても、眼が熱くなり、涙腺が緩んでくる。繊細で表現力豊かな弦楽器、きらびやかで透明
 
感の高い木管楽器(技術は最高レベル!)、ロシア風でやや硬めの金管楽器が素晴らしい
 
ハーモニーを聞かせてくれる。また、ピアニッシモの弦楽器が素晴らしい。但し、残念だが、少し
 
ながらアインザッツがあっていない部分が見受けられる。これは、このオーケストラの楽器の配列と
 
ホールの録音マイクのセッティングの相性が悪い為と受け止めている。このオーケストラの配置は
 
金管楽器が殆ど右側に集中しているので、右からメインで金管楽器、左からメインで弦楽器と木管
 
楽器が分離して聴こえて来る。微妙だが、演奏内容によっては聴く側は音の時間差を感じることに
 
なる。ホールで聞くともっと一体感をもって聴けるはずだが、致し方ない。さて、スヴェトラーノフと言え
 
ば、「爆演系」として有名である。一聴すると、ド派手の演奏ということになろうが、決して音楽への
 
理解が薄いとか、繊細さに欠くということではない。但し、そのような解釈や演奏が垣間見られるの
 
で、そう言われるのは致し方ない面もあると、正直私もそう思う。この演奏は、情熱さと繊細で表現力
 
が見事に噛み合った名演である。マエストロが各楽器の主役となる場面を心得、緻密に操っている点
 
には感服するしかない。一方、「爆演系」の元祖とも言えるストコフスキーの指揮(演奏)は強烈な
 
デフォルメだらけだ。かなり作曲者の意図を無視した解釈が多く、頭の中が疑問符だらけになる。
 
面白いアプローチであるが本筋ではない。色物とまでは言わないが、ちょっと・・・という気が先行して
 
しまう。ロストロ・ポービィッチの指揮(演奏)は、テンポが遅い。本当かよ・・・と言う位遅い。でも音楽性
 
としては決して悪くないと思うけど・・・一般ウケはしないだろう。
 
残念ながらスヴェトラーノフは2002年に亡くなってしまったが、そのエネルギッシュな熱いハートが
 
私の心を掴んで離さない。スヴェトラーノフの演奏を聴くと、つまらない事で悩んでないで突き進んで
 
行きなさい・・と後押しされるような気がする。よってこのCDのシリーズは私の愛聴版なのである。
 
もう少し言うと、交響曲第1番「冬の日の幻想」の第四楽章はあっさりと終わり過ぎだ。硬めの金管
 
楽器が更に硬すぎるね。本来のスヴェトラーノフらしくない。