もう13年程前のことになるだろうか・・・。ある新製品の開発のパートナー探しにアメリカとカナダを訪問
したことがある。同行したのは事業部長と部次長、それと私である。私は、課長に昇進する少し前だった
ように思う。私の役割は通訳兼身の回りの世話役である。語学力が然程優れていない私にとって、
業務以上にこの世話役の任務も大変である。こんな事例があった。こちらから相手企業に英語で質問
すると、その質問に対して相手側が喋って答えてくるので、私は必死に返答内容を聞こうとする。
ところが、相手が話し終わらない最中に、本部長が、「おい、これはどう処理されるのか、技術的に
説明して欲しいと言え。」と割り込んでくる。こうなってしまうと、私の語学能力の限界を超えて話が
分らなくなる。そこで、「ちょっと待ってください。先の説明が終わってからにしてくださいよ・・・。」と
いうと、ムッとされてしまった。期待倒れ、全く以ってだらしない私なのである。
この海外出張は、JFKから入国し、ニュージャージー、フィラデルフィアに行き、飛行機でケベックに
向かい、再びNYに戻って帰国するルートであった。同時多発テロよりも少し前の話しだが、もとより
アメリカは入国審査が厳しい国である。訪問先で貰った土産物を持って空港に行った。今は、どこでも
当たり前な質問であるが、当時、「中身が分からない土産物は持っていますか?」という質問がアメリカ
では徹底されていた。事業部長が聞き取れたか聞き取れなかったかは判らないが、どうも「No」と
答えていたらしい。私が荷物をX線検査機に通そうとしていると、事業部長が「おい、何とかしろ。
助けろ・・」とHelpを出してきた。「一体、どうなっているんだ?」と、黒人のダルマみたいな風貌の
検査官の所に向かうと、「丸い爆弾様の物体が写っている。何を持っているか説明しろ」と言っている。
実は、これは写真の通りの「Glass Globe」なのだが、そういう私もそれが土産物だという事を知らな
かった。一体何なのだろう・・と、考えている矢先に、別の白人の検査官に「こいつも持ってます」と
言われ、私も疑いを掛けられ、結局、3人共に不審人物(“怪しい一団“)とされてしまった。止む無く
スーツケースを開け、恐る恐る箱を開けると「ガラスの置物」が出てきた。検査官には「中身が分から
ない土産物は持って いないと言ったじゃないか・・・」と、ブツブツと苦言を言われたが、これで晴れて
釈放(?)の身となった。

ああ、助かった・・。これが土産だったんだ・・・。どっと疲れた・・・。
どうして、この話しをしたかというと、今、出向先の会社のデスクの上にはこのガラスの地球が置いて
あるのだ。これを見る度にこのほろ苦い出来事を思い出すのである。
ちなみにこの土産物だが、底に「Made in Taiwan」とシールが貼られていた。Taiwan製とは驚きだ・・・。
