
- 内田 響子
- 聖者の異端書
ひっさびさの書評であります。時間的に余裕がないと、書評はなかなか書けませんのでねー。でも「あ、これは紹介したいなー」という本に出会えましたので。つーわけで、『聖者の異端書』です。中央公論新社のC★NOVELSから出ている本で、新人賞の特別賞受賞作らしいです。
……実は今までね。 C★NOVELSって守備範囲外だったのです。あと太田出版の犬のマークのレーベルとか。…………上下二段になってるのが、なんとなく嫌で。ほんとに、なんとなくなんだけど。……それを言ったら、高校のときの文芸部の部誌だってそうだったんだけど、それは平気だったの。あれはB5サイズでしたしね。
ま、それは置いときまして。なんかいろんなとこで平積みになってるので、気になって買ってみましたらば、私好みです、これ。……どうにもあらすじを説明しづらいので、本の裏の文章をそのまま載せさせていただきます。
──弱きもの。汝の名は女──
わたしの目の前で、夫となるはずだった人が消えた。しかも、結婚式の最中に。「死んだと思え」と言われても、納得などできない。
彼を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い坊主を連れて城を飛び出した──
封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚! 第一回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。
……とのことです。主人公のお姫様がなかなかに現実主義的で、彼女の冷めた語りが地の文になっているのですが、これが楽しい。テンポが良く、共感しやすい。
非ギャグタッチのファンタジーで、わりとしっかりと伏線がひかれているというか、パズルのピースがぱちりとハマるようなストーリー構成は私の大好物なのです。
主人公の語りという体裁だし、叙事詩的というのか……正統派ファンタジー的というのか……ちょっと、主人公以外の人物像が表面的になりがちかなあ、というか、見せ場がないなあという感じなので、最近のキャラクター主義的な風潮とは逆行するところがあるのかな、とも思うのですが。私はむしろ、ギャグタッチになりすぎなかったぶん、好感がもてると感じました。
「そろそろキャラクター主義的なのには食傷気味かも……」って方にはもってこいかと思います。私も、そういうのが嫌いなわけじゃない──というよりわりと好きなのですが、たまにはこういうのが読みたいもんです。うん。