- 川端 裕人
- The S.O.U.P.
以前ご紹介しました、『夏のロケット』の作者さんの作品です。今回も、まずは文庫裏掲載のあらすじをそのまま載せさせていただきます。
「世界中を熱狂させたゲーム、「S.O.U.P.」の開発から十年。プログラマから一転、セキュリティを護るハッカーとして、FBIの依頼もこなす巧に、経済産業省から、悪質なHP侵入者を突き止めてほしいという依頼が入る。犯人を追いつめた巧が見つけたのは、自分たちの開発した「S.O.U.P.」に巣食う、サイバー・テロリスト集団だった! そして今、世界を巻き込むインターネット戦争が幕を開ける。ネット社会の陥穽(かんせい)を鋭く突いた、エンタテインメント・ノベル!」(文庫裏より)
インターネットの世界はこれからどんなふうに進化するんだろう、っていう、きっと今誰もが持っている期待と不安を、うまく形にした作品だと思います。ネット……というかパーソナルコンピュータには、なにができるんだろう、という期待。そして、ネットに依存する社会がどんな危険をはらむのか、という不安を描いている。
でも、テーマの面白さもさることながら、私が一番気に入っているのは作品の雰囲気というか、文章というか。『夏のロケット』もそうでしたが、作者の川端さんはけっこう青春ものっぽい作品を書く人らしく、登場人物の描き方や作品全編にわたる雰囲気が、さわやかで気持ちがいい。このザ・スープも、主人公の巧は凄腕のハッカーでかっこいいのだけど、ただクールなんじゃなくて彼なりの正義感というものがあって、そのために一生懸命になっている。余談ですが、彼はセキュリティの仕事ではユニックスとかウィンドウズを使ってますが、趣味でマックを二台持ってるのです。
それと、小難しいコンピューター用語がたくさん出てきます……が、たまに「そういうもんか」って読み流してた部分もありましたが、私みたいなのでもストーリーは問題なくわかるように書いてあります。詳しい人が読んだらもっと楽しめるのかもしれないけど。私の場合、今更だけど、「インターネットってそういう仕組みになってたのね~」と納得してしまいました。面白いだけでなく、勉強にもなる。
ぜひともご一読ください。ほんとにおすすめです。