- 著者: 恩田 陸
- タイトル: 六番目の小夜子
とある公立の進学校で連綿とつづけられている、奇妙な伝統を物語の軸に、主人公たちの学生生活を描いた作品です。
主人公たちの通う高校には、生徒たちの間で、密やかに受け継がれている「ゲーム」があるのです。まず三年に一度、『サヨコ』が選ばれます。前回の『サヨコ』から指名によって『サヨコ』に選ばれた生徒は、自分が『サヨコ』であることを誰にも知られないようにしなければなりません。そして他の生徒たちも、それを詮索してはいけないという暗黙の了解がある。
そして『サヨコ』には仕事がひとつ与えられます。『サヨコ』はまず、春の始業式には自分の教室に赤い花を生けて、今年も『サヨコ』を継いだ者がいることを示します。そしてその後はたったひとつの仕事をやりとげるまで、ひたすら自分が『サヨコ』であることを隠し通さなければならないのです。
ところが、六番目のサヨコの年は、ちょっと妙な具合になってしまった。サヨコという名前の転校生がやってきたのです。津村小夜子。彼女は『サヨコ』に何らかの関わりがあるのか? それとも名前の一致はただの偶然なのか……?
高校生活をとても生き生きと描いた作品で、ミステリーというか、ホラーっぽい雰囲気もあるけれど、どちらかというとさわやかな印象です。サヨコ伝説という、謎めいた伝統を守り続ける生徒たちを描きながら、学校という空間の奇妙さをうまく表現していると思います。
多少、強引と思える部分もあるのですが、そのぶん勢いのある作品です。続きが気になって一気に読み終えてしまいました。