- 著者: 川端 裕人
- タイトル: 夏のロケット
ちょっと前から好きな作家さん、川端裕人さんの『夏のロケット』をご紹介します。
主人公・高野は、新聞社の科学部の記者なのですが、ある日彼は、ちょっと妙な事件にいきあたるのです。マンションの一室で過激派の男がミサイルを自作する途中、誤って爆発を起こした。それだけならば良いのだけれど、件のミサイル、普通に過激派が作るものとくらべて、高性能すぎるようなのです。
気になって調べて行くうちに、この件には自分の高校時代の「ロケット班」の仲間達が関わっているらしいことに気づきます。
一見ロケット班には似つかわしくない、体育会系の北見。
圧倒的な知識をもってロケットの設計を担当する「教授」こと日高。
手先が恐ろしく器用なのはいいが、あまり人間には関心がないらしい清水。
ひょうひょうとした美少年で、現在はロックミュージシャンとして活躍する氷川。
そして、文才を見込まれて、ロケット班の広報係としてひっぱりこまれた主人公。
かつて、共に夢を見た仲間たち。ふたたび集まった「ロケット班」を前に、主人公は……。
あらすじから、ミステリーものかと思われるかもしれませんが、ちょっと違います。さっぱりとしているけれど、どこか熱っぽい。そんな、さわやかな青春小説です。私はこの川端さんの書き口がとても好きなのです。
川端さんは他にも『リスクテイカー』や『The S.O.U.P.』など、専門知識を生かした小説を書かれるのが得意なようです。小説家デビューの前は、日本テレビで科学技術庁、気象庁などの担当記者をしてらしたとか。
専門知識の部分は、私のような文系人間には全て理解することはできないまでも、わかりやすく書かれているので、お勉強になるし、苦になるほどでもないと思います。特に、『夏のロケット』は。
前述のとおり、さっぱりとしていて、さくさく読み進めることができるのに、読んだ後には充実感がある。なんとなく、気分が浮上している。そういう作品です。ラストの氷川のエピソードなんか、洒落てて大好きです。
元気になりたい人におすすめしたい一冊。