著者: 半村 良
タイトル: かかし長屋

去年の夏、集英社のフェアで平積みになっているのを見てずっと読みたいと思っていたのですが、最近、やっと読めました。

かかし長屋と呼ばれる長屋の人々を生き生きと描いた、「人情時代小説」です。

かかし長屋の面々は、棟梁に褒められ有頂天になる大工、盗賊としての過去を隠した扇職人、対人恐怖症で五千石を棒に振った旗本の次男坊、玉の輿に乗る娘などなど……。

貧しい長屋暮らしながらも、お互いに助け合い、毎日懸命に生きている彼ら。しかしそのかかし長屋を巻き込んで、ちょっとした事件が持ち上がってしまうのです。

半村良さんの文章は、完全な時代ものというより、弱冠、現代よりに感じますが、かえって人々の会話が生き生きとしています。この人、男の人なのに、どうして女房連中の世間話がこんなに生き生き書けるのかしら、と不思議になってしまうほど。

生き生きと描かれた登場人物たちはとても魅力的で、読んでいて愛着がわいてしまいます。誰が主人公ということなく、長屋の人すべてが主人公として描かれている。そうすることで、普通の人情ものよりも、複雑で広がりのある物語になっているように思います。





………………が。
こんなに、こんっなに面白いのに、なぜ最後が尻切れとんぼ!?

……そうなのです。ものすっごく面白いくせに、話が一番盛り上がるところで、物語が終わってしまうのです。なぜだー!

ちなみに巻末の解説によれば、「ラスト数行は現在進行形で書かれているが、作者が敢えてそうした裏には、現在もこうした人の輪が必ずある、いや、あってほしいという作者の願望のあらわれではないのか」だそうです。……ほんとかよ。

でも、物語の最後の最後までは、ほんっとーに面白いのよ!? あたしゃー長屋のみんな大好きだよ!

……弟も読みたがっていたので、上記のような感想を添えて読ませようとしたら。
「その感想を聞いてあえて読むやつはいないだろ」と言われてしまいました。

……ごもっともデス。
……誰か、この悔しさを私と共有しようよ~。