本木さんのソーシャルベンチャー論

「腹で決めて、足を動かし、頭で考える-それが社会起業家に求められる資質。」

> ソーシャルベンチャーの強み

・ 社会的意義の高い事業を手掛けることで、共感をベースにした支援を受けることができる、というところでしょうか。

かものはしプロジェクトでは、企業経営者の方々からのアドバイスを受ける会を定期的に開催していて、毎回多くの経営者の方々がお忙しい中参画して下さっています。

> ソーシャルベンチャーの弱み

 ソーシャルベンチャーを志すような人はこだわりや信念が強いことが多いので、意見が対立すると妥協点が見つけにくい気はしますね。

> ソーシャルベンチャーに飛び込んだきっかけ・今思うこと

 私は、学生時代就職活動をして内定もいただいていたんですが、結局そこを断ってこの世界に飛び込みました。当時決断に踏み切ったのは、一言でいえば、「難しそうで面白そう」だったから。児童買春は簡単に解決できる問題ではないし、難しい。けれど、どうやったらその問題を解決できるか考えるのは、難しいからこそ面白い。何より、自分の仕事によって、誰かがハッピーになる、ということが明確にイメージできることが、やりがいにつながってます。

 かものはし円満の秘訣

・ これまで、かものはしプロジェクトが続いたのは、共同代表制を取っていることが大きいです。現在かものはしプロジェクトには三人の代表がいて、それぞれに役割分担がしています。一人一人が組織の代表という自覚を持った上で役割分担ができていることが、組織によい影響を与えていると思いますね。また、代表といっても若いので、三人で互いに精神的なブレを支えあえる、という点でも、共同代表制にしてよかったと思っています。

> 社会起業家に必要な資質

 「腹で決めて、足を動かし、頭で考える」こと。誰を幸せにして自分が幸せになるのか、常に考え、考えながら行動し、そのフィードバックを受け取りながら次に進む、行動だけでも考えているだけでもダメ。行動と思考と、二つを同時にするには、「腹で決める」ことが大事です。僕は、20代のうちは、自分なりの「腹の決め方」を鍛える時期だと思っています。

 もう一つは、楽観的に物事をとらえられること、精神的にタフであること。事業がうまくいかない時、どうしてうまくいかないのか、真剣に考えながら、同時に、常に楽観的に状況を捉えられるような、そういう視点が重要だと思います。

【本木さん meets コンパスポイント】

~ガチンコの質疑応答~

 今から、もう一度大学生の時点に戻って、進路を選択するとしたら、どういう選択をされますか?

 難しいですね(笑)ただ一つ言えるのは、今の進路をとったことに後悔はしていないということです。今の仕事をしていると大企業の社長とお会いする機会も多くあるし、ソーシャルベンチャーに飛び込んだことで早く成長できた部分も多いと思います。ただ、民間で働くという選択もあったかなとは思いますね。

3人の共同代表制をとっているがゆえに、決定が難航する、という場面はないのでしょうか?

3人がそれぞれ一つの決定事項について腹を決めるというのは確かに難しいことだと思います。ただ僕個人は割と自然体で腹を決めることができるみたいです。最終的には村田(注:共同代表の村田早耶香氏)の意見が方向性を決めることが多いかもしれないですね。

 かものはしプロジェクトの 設立当初、必要となった資金の調達はどのように行ったのでしょうか。大学生3名で立ち上げた団体が、どのように資金を調達したのか、関心があります。

 ソーシャルベンチャーを設立していた知り合いがおり、資金調達の方法についてはそういうところからノウハウを教えてもらったり、コンペに出展して入選、得た賞金を資金に回したりしました。そこまで多額の初期費用が必要な事業内容ではなかったので、それで事足りましたね。

IT事業開始時、専門知識を持った人材はどのように調達したのでしょうか?

IT業界で働いている人などに会って話をしていく中で、我々の理念に共感してくれる人に参画してもらう、といった形で専門的な知識を持った人材の支援を得ることができました。活動の理念に共感して支援をしてもらえる、というのは、やはりソーシャルビジネスの強みですね。

 事業対象地として、何故カンボジアという国を選んだのでしょうか?また、コミュニティファクトリーがかものはしプロジェクトの支援なしでも自立して運営していけるようになるためには、何が必要と考えていますか?

 カンボジアを選んだのは、東南アジア諸国の児童買春の状況を比べた時、最も酷いレベルの環境にあり、かつ、政治体制等を勘案しても事業活動を行いやすい環境であったためです。コミュニティファクトリーについては、ファクトリーの経営を自分で行うことができる能力を持った人材を、自らの資金で雇用できるようなレベルに到達すれば、組織として自立してくると思いますね。

 日本のフェアトレード市場はどのような市場だと思いますか?

 日本のフェアトレード市場は今後拡大してくると思いますよ。特に最近は、途上国の商品、というブランドだけでなく、品質面でも日本の製品と競争力のある商品を提供しようとしているフェアトレード団体が増えてきています。こういうビジネス的な発想が、フェアトレード市場全体の拡大・発展につながるものと期待しています。

 かものはしプロジェクトの活動の課題について、本木さんが個人的に考えることを教えてください。

 企画から事業の実施までに、やや時間が掛かり過ぎていると思いますね。なかなか迅速な事業化ができていない。コミュニティファクトリー事業は現地のNGOとの協調が不可欠なのですが、そのNGOとの関係維持も課題です。事業を実施する以上、その事業が黒字となり、成果を出せなければ、意味がないと個人的には考えています。