僕は過去に3日間だけ、中学校の美術教師をしたことがある。
いわゆる「非常勤講師」というヤツ。
本当は「2学期いっぱい」という正味4ヶ月くらいの契約だったけど、たったの3日間勤めた時点で堪らなくなって辞めた。
あれは、絵描きで成功するというユメに挫折して、実家に逃げ帰り、この先何をすればいいかわかんね~って路頭に迷っていた3年前の夏のこと。
短大の時に教職課程を専攻したので教員免許は持っていた。
教育実習の時にはそれなりに女子生徒達からチヤホヤされ、すっかり調子に乗っていた僕だったが、現実社会はそれほど甘いものではなかったのだ。
その職場で僕は、自分の「居場所」を見つけることが出来なかった。
職員室にも、教室にも、どこにいても落ち着かない。
とにかく居心地が悪かった。自分がまるで「透明人間」のように見えて、それが堪らく辛かった。
世の中のちっぽけな1個の「歯車」でいい。
いや、むしろ自分が自分らしい歯車として社会の中で機能できることが、人間にとっての最高の幸福なのではなかろうか。
あの時、逃げ出さないで契約の期間が終わるまであの職場で踏ん張っていたら、僕は今より立派な人間になれていただろうか。
そんなん知るか。
僕は、「僕らしい歯車」としてこの世に機能したい。歯車でいいんだ。
どんな小さな歯車でも、漏れなくそこには「役割」があるわけだから。
「透明人間」はヤだな。
で、
そんな僕にも、その時ちゃんと「お給料」が支払われた。
3日間だけ勤めて、一方的な理由で勝手に辞めた僕に、数万円の給料が支払われた。
「これが公務員ってヤツなのかー、むむむ」