朝起きたら、その日は日曜日だった。ソラは真っ青に晴れ渡り快晴。風もなく、柔らかな朝日が僕を包んでいる。
「またとないチャンス到来」
家庭菜園の畑を耕しながら、僕は1人でつぶやいた。
次の瞬間、僕は右手の鍬を置き、ポケットからmyケータイを取り出した。
7回目のベルで受話器をとったのは、僕の最愛の先輩。
先輩は来月から新しい職場で働き始めるから、現在はそのための準備を着々と進めているという。
開口一番、僕は言う。
「先輩、今日は・・・なんて素晴らしい行楽日和なのでしょう?」
数秒の沈黙。先輩は僕の意思、野望、シタゴコロ、・・・その全てを理解する。
「じゃあ、11:30に名古屋駅集合で」
僕は電話をきった。
・・・物語はいつも、この無鉄砲な後輩からの突然の電話(5分足らず)でぺロッと幕を開ける。
無茶な提案をするほうもするほうだが、それに対して瞬時にOKを出す先輩もかなりのつわものである。
岐阜に住む僕と、三重に住む先輩。
ほぼ約束どおりの時間に、僕らは千種駅(名古屋市)で合流した。
もちろん僕はノープラン。冗談抜きで「何も無い」。
持つべきものは「頼もしい先輩」である。先輩の提案で、僕らはそのまま愛知県豊田市にある『猿投温泉(さなげおんせん)』てとこへ行った。
名古屋市から車で1時間もかからない、そのお手軽さに反比例した充実感がそこにはあった。
途中の車内では、僕のブログ上での振舞い、勘違いや妄想について先輩からこんこんと説教を受け続けつつ、僕は、今や「萌え絶頂」である大好きな春の森を窓越しに見ながら、重~い気持ちで運転を続けた。
まあ、人間なんて単純なもので、
温泉に浸かったら、そんな憂鬱もスーと、どっかに消えてしまった。
僕らはエヴァンゲリオンで言うところの「シンジ君」と「カヲル君」の様に、お互いの生まれたままの姿をそこに曝け出し、心と心の交流を愉しんだ。
風呂から上がると僕らは浴衣を借りて、施設周辺に広がる実に豊かな自然の中を散策した。
そこには小川があり、滝があり、そして神社があった。
で。
多忙な先輩は、夜にまた別の人と会って食事をする予定があったため、僕らはそのまま名古屋へ戻り、お別れ前に、これまた頼もしい先輩に全てを委ねる形で、栄にある隠れ家的小洒落喫茶でコーヒーとかを飲みながら、今後のお互いの人生計画などについて、激しい論議をぶちまけあった。
そして、帰宅。
それにしても、この日はなんとも救いのある1日だったな。
「今日で地球が終わってもいい」
そんな無責任な発言をしたくなる、それはもう「完璧な1日」だったように思う。
とにかく愉快だった。

