僕は愛知県にある芸術系短大を卒業後、2年間、名古屋を中心にいわゆる「路上アーティスト」をやって、その後の2年間(平成17年と18年)を東京で過ごした。


この東京の2年というのは、僕の人生の中で極めて退屈で、空っぽな、「空白期間」だ。


同時に、僕が人生で唯一「正社員」という肩書きを持って社会人をやっていた期間でもある。


僕は新宿の外れにある、「淀橋市場」(・・・だったっけ?)というところで野菜の運搬をしていた。


夜の10時ごろに出勤。市場は早朝に賑わうところだから、夜のうちにいろいろなセッティングをしておく人間が必要なわけだ。それをやっていた。


そして一通り市場が賑わう時間が過ぎた8:00頃、勤務を終えてアパートに帰って寝る。


その繰り返しをひたすら2年間続けた。


自炊は一切せず、「松屋」で牛丼食べるか、コンビニ弁当か、ミスタードーナツを食べて生きていた。


仕事はそれなりに忙しかった。


でも、休日なんかはもう、退屈で退屈で仕方なかった。


欲しいものが無い。やりたいことが無い。やるべきことがわからない。絵も描かない。


アパートにはインターネットもテレビも無かったから、あまりの退屈に耐えかねた時は、マンガ喫茶で時間を潰すか、そうでなければ、ひたすら歩いて、歩いて、歩いていた。


新宿、原宿、渋谷、下北沢、三軒茶屋、自由が丘、代官山、高円寺、吉祥寺、池袋・・・結局僕は、東京で何も見つけることが出来なかった。


勇気をふりしぼって一人で入った渋谷の「109」はただのデパートだった。


東京タワーは、ただの鉄骨だった。


僕は途方にくれていた。


行き着いたのは「新宿御苑」。PM2:00くらい。平日で、ポカポカと日差しが暖かい。


僕は芝生に座り込んで、持ち込んだフレンチクルーラーとかオールドファッションを食べた。



東京での2年間、僕はそんなことばかりをしていた。