熱狂と興奮の渦。未だかつてあんなライブをぼくは体験したことがない。
人間がギュウギュウ詰めになって飛び跳ねてる。まるで人気絶頂のミュージシャンのライブみたいだった。
そんな中、気が付くとぼくの頭の中は一人の女の子のことで一杯になっていた。
一曲目の「ジャングル・ジャミン」。強烈なジャングルビートが会場の熱を一気に沸点まで押し上げる。ヒロトがチンパンジーかオランウータンの真似をしながらオーディエンスを睨み付ける。そんなパフォーマンスがメチャクチャ格好良くキマるなんて、世界中で甲本ヒロト以外に誰か存在するのだろうか。
ぼくが冷静に曲を聴くことが出来たのは、その最初の1曲くらいのもので、あとはもうそこで如何にして「生き残る」かという、ガマン大会の参加者みたいになっていた。
バーゲンで如何に戦利品を獲られるか。
サウナの中で如何に長時間耐えられるか。
満員電車で如何に・・・そんな感じだった。
後ろにいる奴らは、どうにかして前に出たいと考えるから、少しでも気を抜けば、あっという間に押しのけられて後ろへ追いやられてしまう。ぼくは赤木キャプテンの教えでもある「スクリーンアウト」で必死に自分の居場所を確保した。その時既に、ぼくの意識は遠ざかりつつあった。ぼくの体力・気力はもう限界に近かったのだ。
ふと気が付くと、ぼくのとなりにハタチ前後と思われる女の子がいた。身長がないから、もう人と人の中にほとんど「埋まっている」状態である。最初は「自己責任だから仕方ないよな」と思って無視していたぼくだったが、次第にその娘のことが心配になってきた。
「このまま放っておいたら、ヤバイんじゃないか?」
そして気が付くと、ぼくはその娘を守る体勢をとっていた。途中で何度か声を掛けながら、ぼくは必死で彼女を守り続けた。その時はもう、ライブの内容なんかそっちのけになっていた。ぼく中の「ゲーム」は、自分一人の「ガマン大会」から、「オレは男として、この娘の命を守りきれるか」という内容にシフトした。
ぼくは必死に彼女を守っていたが、ついには自分自身の体力の限界がおとずれる。
ぼくは「勇気ある退却」を決意し、ついでにその女の子も誘って退却しようと考えた。その娘が結構可愛かったから、いつの間にかぼくの中にシタゴコロが芽生えていたことは否定出来ないが、それ以上に彼女もそれを望んでいるかもしれないと思ったからである。
ところが、彼女はぼくにはついてこなかった。その後のライブが、中断なく、滞りなく終わったことからも、彼女はその場に残って最後まで元気一杯にライブを楽しんだようだ。
ぼくはあれだけ偉そうに批判していた「ドリンク券」を持ってフラフラとカウンターになだれ込み、消え入りそうな声で一言、こう言った。
「ウーロン茶・・・ください」
アンコールで再登場したヒロトは、大好きな「メインジェット」と「ネギボーズ」を演ってくれた。
帰りにぼくは物販でTシャツとタオルを購入した。こういうグッズはこれまでずっと無視し続けてきたが、この日はとうとう買ってしまった。
こみ上げてくる自嘲の笑いに、自分自身ちょっと困惑しながら、ぼくは家路についた。
人間がギュウギュウ詰めになって飛び跳ねてる。まるで人気絶頂のミュージシャンのライブみたいだった。
そんな中、気が付くとぼくの頭の中は一人の女の子のことで一杯になっていた。
一曲目の「ジャングル・ジャミン」。強烈なジャングルビートが会場の熱を一気に沸点まで押し上げる。ヒロトがチンパンジーかオランウータンの真似をしながらオーディエンスを睨み付ける。そんなパフォーマンスがメチャクチャ格好良くキマるなんて、世界中で甲本ヒロト以外に誰か存在するのだろうか。
ぼくが冷静に曲を聴くことが出来たのは、その最初の1曲くらいのもので、あとはもうそこで如何にして「生き残る」かという、ガマン大会の参加者みたいになっていた。
バーゲンで如何に戦利品を獲られるか。
サウナの中で如何に長時間耐えられるか。
満員電車で如何に・・・そんな感じだった。
後ろにいる奴らは、どうにかして前に出たいと考えるから、少しでも気を抜けば、あっという間に押しのけられて後ろへ追いやられてしまう。ぼくは赤木キャプテンの教えでもある「スクリーンアウト」で必死に自分の居場所を確保した。その時既に、ぼくの意識は遠ざかりつつあった。ぼくの体力・気力はもう限界に近かったのだ。
ふと気が付くと、ぼくのとなりにハタチ前後と思われる女の子がいた。身長がないから、もう人と人の中にほとんど「埋まっている」状態である。最初は「自己責任だから仕方ないよな」と思って無視していたぼくだったが、次第にその娘のことが心配になってきた。
「このまま放っておいたら、ヤバイんじゃないか?」
そして気が付くと、ぼくはその娘を守る体勢をとっていた。途中で何度か声を掛けながら、ぼくは必死で彼女を守り続けた。その時はもう、ライブの内容なんかそっちのけになっていた。ぼく中の「ゲーム」は、自分一人の「ガマン大会」から、「オレは男として、この娘の命を守りきれるか」という内容にシフトした。
ぼくは必死に彼女を守っていたが、ついには自分自身の体力の限界がおとずれる。
ぼくは「勇気ある退却」を決意し、ついでにその女の子も誘って退却しようと考えた。その娘が結構可愛かったから、いつの間にかぼくの中にシタゴコロが芽生えていたことは否定出来ないが、それ以上に彼女もそれを望んでいるかもしれないと思ったからである。
ところが、彼女はぼくにはついてこなかった。その後のライブが、中断なく、滞りなく終わったことからも、彼女はその場に残って最後まで元気一杯にライブを楽しんだようだ。
ぼくはあれだけ偉そうに批判していた「ドリンク券」を持ってフラフラとカウンターになだれ込み、消え入りそうな声で一言、こう言った。
「ウーロン茶・・・ください」
アンコールで再登場したヒロトは、大好きな「メインジェット」と「ネギボーズ」を演ってくれた。
帰りにぼくは物販でTシャツとタオルを購入した。こういうグッズはこれまでずっと無視し続けてきたが、この日はとうとう買ってしまった。
こみ上げてくる自嘲の笑いに、自分自身ちょっと困惑しながら、ぼくは家路についた。