父。
【散歩のおはなしその31】
用事があって、実家にあるものを届けてもらうためだけに父を呼んで金町で待ち合わせしていた。
「改札でなくていいから、渡してくれればそれでいいよ。」
そんなそっけない娘の私だ。
父は改札の外へ出ていて、用事のものを手渡してくれた。
いつもなら「じゃ」と、すぐ帰る父だがめずらしくもごもごしてる。
ん?ちょっとお茶でもする?と声かけたら、嬉しそうだった。
父と2人で出かけるなんて、あんまり記憶にない。
覚えてるのは、学生の頃一緒に帝釈天へ歩いていったことだろうか。
「お茶もいいけど、帝釈天いきたいな。」
めずらしいことを言う父。
そもそももう19時だし、店あいてないと思ったがめずらしく言うことを聞いた。
電車も行ってしまったことだし、少し歩いて帝釈天へ行こうか。
うん。と素直にうなずく。
父も、過去に一緒に歩いていった帝釈天のことを思い出してたのかもしれない。
歩き始めると、ウワサの金町浄水場前でぽつりと。
「今日17日でしょ。ほら、誕生日だったよ~忘れてたよアハハ。」という父。
ワタシの方がもっと忘れてた。
忘れてたどころか、金町まで出向いてもらってお使いしてもらってるし。
ましてやプレゼントなんて用意してない。
そのかわり、やっぱり店も開いておらず誰も歩いてない参道を歩きお参りしてきた。
父は手をあわせながら「みんながいつまでも健康で楽しく過ごせますように」
って大きな声で言った。
願い事は心の中でいうもんだ。かわりにワタシが同じことを心で願った。
特別な場所じゃないけど、帰り道でお茶した。

あぁ・・・撮影したいのに食べ始めた。

90円のお返しですって手渡された手には10円玉4枚と5円玉1枚だった。
いつもの父なら、ちょっとえ?!みたいにキレるのに
今日の父は店員さんに「これは90円じゃないんじゃないかなぁ~」と微笑んでいた。
歳をとったもんだ。
「さっきの子は、まだまだ新米だねぇ~。」と笑いながら駅へ向かった。
父が、帝釈天から帰りに乗った電車のきっぷを駅員さんに
「これ、持って帰りたいんです」って話してた。
「これ、どうせ持って帰っても印字消えちゃうんだけどね笑」
と、わたしにいちいち言い訳してるのが愉しかった。
何にもできない誕生日だったけど、楽しかった。
66歳、おめでとうお父さん。
まだまだ不甲斐ない娘でごめん。

用事があって、実家にあるものを届けてもらうためだけに父を呼んで金町で待ち合わせしていた。
「改札でなくていいから、渡してくれればそれでいいよ。」
そんなそっけない娘の私だ。
父は改札の外へ出ていて、用事のものを手渡してくれた。
いつもなら「じゃ」と、すぐ帰る父だがめずらしくもごもごしてる。
ん?ちょっとお茶でもする?と声かけたら、嬉しそうだった。
父と2人で出かけるなんて、あんまり記憶にない。
覚えてるのは、学生の頃一緒に帝釈天へ歩いていったことだろうか。
「お茶もいいけど、帝釈天いきたいな。」
めずらしいことを言う父。
そもそももう19時だし、店あいてないと思ったがめずらしく言うことを聞いた。
電車も行ってしまったことだし、少し歩いて帝釈天へ行こうか。
うん。と素直にうなずく。
父も、過去に一緒に歩いていった帝釈天のことを思い出してたのかもしれない。
歩き始めると、ウワサの金町浄水場前でぽつりと。
「今日17日でしょ。ほら、誕生日だったよ~忘れてたよアハハ。」という父。
ワタシの方がもっと忘れてた。
忘れてたどころか、金町まで出向いてもらってお使いしてもらってるし。
ましてやプレゼントなんて用意してない。
そのかわり、やっぱり店も開いておらず誰も歩いてない参道を歩きお参りしてきた。
父は手をあわせながら「みんながいつまでも健康で楽しく過ごせますように」
って大きな声で言った。
願い事は心の中でいうもんだ。かわりにワタシが同じことを心で願った。
特別な場所じゃないけど、帰り道でお茶した。

あぁ・・・撮影したいのに食べ始めた。

90円のお返しですって手渡された手には10円玉4枚と5円玉1枚だった。
いつもの父なら、ちょっとえ?!みたいにキレるのに
今日の父は店員さんに「これは90円じゃないんじゃないかなぁ~」と微笑んでいた。
歳をとったもんだ。
「さっきの子は、まだまだ新米だねぇ~。」と笑いながら駅へ向かった。
父が、帝釈天から帰りに乗った電車のきっぷを駅員さんに
「これ、持って帰りたいんです」って話してた。
「これ、どうせ持って帰っても印字消えちゃうんだけどね笑」
と、わたしにいちいち言い訳してるのが愉しかった。
何にもできない誕生日だったけど、楽しかった。
66歳、おめでとうお父さん。
まだまだ不甲斐ない娘でごめん。
