畜産業界にとって嫌なニュースが報じられました。
3万人の会員数をもつ「和牛オーナー」制度で知られる
安愚楽牧場が経営悪化に陥っているという話です。
同社には出資者らが説明や出資金の返還を求めて駆けつ
けているそうですが、経営建て直しは厳しい状況なんだと
思います。
報道では、負債総額は3月末期で約620億円・・・。
正直、そんなに負債があったのかと驚きました・・。
「和牛オーナー商法」という、農業・畜産業界にとって、
ある意味で先駆的なビジネスモデルを打ち出していた
ようにも思えますが、私は以前からかなり懐疑的に見て
いました。
そもそも、農業や畜産は天候や自然環境、多大なリスク
を抱えながら、飼料・原材料のコスト高などを前に厳しい
経営をされている現状があります。
それを金融商品にし、高利回りを謳って大きな配当が手に
入るように出資金を大量に募るビジネスモデルは、ある種の
神業です。
どうも、金融・経済関係の人からすれば、運用方法に
問題があったことで、ビジネスモデルとしては間違いは
ないと言う人もいるのかもしれません・・。
しかし、サブプライム問題で見えてきたように、食料
いう生命に関係するものを金融商品にすることに
私は違和感を覚えます。
むしろ、これからの農業・畜産は、生産者から消費者へ
地場の生産物を直接販売していく「地産地消」を活用
しながら、これまでの市場取引とうまくバランスを図り
ながらコミュニティと連携していく形が望まれていま
す。
世の中では、コミュニティ・ファンドに代表される市民出資
や市民金融のしくみが確立しつつあります。
単なる金融商品ではなく、市民からの個人融資ということ
ですから、安愚楽牧場のビジネスモデルとは全く異なると
言えます。
地域にいる消費者は、生活者でもあります。
そうした消費者が、地域貢献として投資して、共に自立
していく仕組みは、地域の農業や畜産にも取り入れられ
ていくと、もっと新しい動きが起こると思います。
農業・畜産だけでなく、地域活性化のしくみにも、もっと
コミュニティ・ファンドが有効に活用されることを期待
せずにはいられません。