にんじんと言えば愛知県なら西三河地域の「へきなん美人」を思い浮かべますが、岐阜なら各務原とのこと。コミュニティのイベントに参加するには多少の予備知識は必要だと思い予習を、いくら野菜ソムリエの資格を取ったからと言え知識は皆無、今回は私にとって初の「にんじん」ですから最低限イベントに参加する前の予備知識としてにんじんの種類、栄養価、産地、種類、「各務原のにんじんとは」でググっておきました。
その中で気になったのは、各務原は台地であること、そしてその台地は名古屋城から熱田神宮にかけての熱田台地と繫がっているとのことです。土壌は「黒ばく土」?それって何? 再度ググって「黒ばく土」とは? 強い酸性土壌の火山灰が堆積した土地だそうです。火山灰?・・現地は犬山城から木曽川を渡って北西側に位置し周辺には高い山などは全く見当たらないのどかな風景が広がる場所、どこから火山灰が?とまたまた疑問が、そこで今回訪れた「フォレストファーム」社長で野菜ソムリエでもある林亮輔さんに開口一番お聞きしたところ火山は御岳山の噴火によるものだそうです、なるほどと納得です。土壌や土地の成り立ちについて詳しくは是非ブラタモリで補って頂きたいです。で、ここ各務原は火山灰による農作物の育ちにくい土地、それを改良して現在は全国でも珍しい二期作での各務原のにんじんの産地となっているそうです。夏は木曽川の水を用い冬はトンネルビニールで寒さをしのぎ安定した気候で5〜6月と11月〜12月と2回、高品質のにんじんの栽培をしているとのことです。
今回、林亮輔さんの座学の中で仰っていたのが「規格外野菜」についての問題です。実際に林さんのフォレストファームでの年間収穫量の10〜20%が規格外にんじんだそうです、多くないですか?、丹精込めて栽培をしても10〜20%が売れずに破棄されるなんて、例えばコンビニで問題になる廃棄ロスは3%〜5%です、それが大きな問題となりますが10〜20%が売り物にならない損失とはその額は大き過ぎますよね。そこで林さんはこの規格外野菜を使って第6次産業でジュース、ジャム、ドレッシング、ミートソースなどを規格外にんじんから加工食品を開発し販売を行って「ホカルノ」ブランドを立ち上げたそうです。そしてその一環として自社で生産して出た規格外野菜を食べられるお店「ホカルノコーヒー」店を2019年11月にオープンをして私たちも帰りに野菜いっぱいのランチを頂いてきました。
但し、この規格外野菜の問題はとても大きな問題であり、我々消費者にとっては規格外であろうと味に変化がなければ通常より安く購入できこんな良い事はないはずなのですが、生産者にとっては規格外で価格は下がりもうけが少なくなりそれによって農家の意識の低下にも繋がりかねない問題だそうです。「もったいない」や「SDGs」が叫ばれる昨今、この規格外野菜の行き場が農家と消費者にフィフティ・フィフティな運用方法が今後も模索され今までにない新たな流通が生み出されていくと思いますが・・・人間は賢いですからね。
林さんの座学の後は「にんじん畑の間引き」を体験させて頂きました。
実際の収穫時期は6月とのことで出荷には1ヶ月ほど早い段階です。現在のにんじんの長さは12〜15cmで太さは直径3cm弱のか細いにんじん、砂地なので力もいらず葉っぱごとすっと引き抜けてあっという間に30〜40本の間引きが完了でした。その後は間引きにんじんの試食会、近藤香織さん愛用のアウトドア用ガスコンロとル・クレーゼのお鍋で蒸し焼きを、にんじんは縦に4分割に切ってお鍋にはにんじんの栄養価がもっとも引き出せる組み合わせのオリーブオイルとほんの少々のお水とお塩を入れてものの4〜5分で完成、間引きにんじんですから甘さはそれほど感じませんが十分ににんじんそのものの味で美味しく頂くことが出来ました、またお土産にと間引いたにんじん30〜40本頂いて来ました。もちろん自宅に帰り早速このにんじんの蒸し焼きを試して大量のβカロテンを補給しました。今回、私にとっては初の「にんじん」についてのコミュニティイベント、いろいろな野菜に興味を持ち実際に体験することが一番の勉強だとつくづく思いました。毎回ですが興味深い野菜ソムリエコミュニティあいちのイベント企画と運営をして頂いています世話役の皆様には感謝です。
野菜ソムリエ 岩井 勝
写真撮影 ※1竹内幸彦
※4、5勝田紀久子
※2、3、6、7近藤香織