私は以前、研修の講師をしていたことがあります。
コーチングを学んだので、研修でコーチングを任されたときはとても嬉しかったです。地方に行くこともあって勉強になりました。
講師になるためには厳しい訓練がありました。研修・教育というより「訓練」という言葉がピッタリです。途中で脱落する人もいました。
2時間半かけて指導してくれる女性の先生のところに通い原稿を覚える、身だしなみ、言葉、立ち方、細かく教えていただきました。朝から夕方まで訓練です。
研修内容やタイムテーブルも自分で作るようになりました。ワーク1つにしても先生から「秒単位で!」と指摘が入ります。
たとえ厳しくてもお金をいただいて研修をやる以上、しっかり仕上げたい、まだまだ自分は未熟者という気持ちだったので感謝しながら続けていました。
コンサルタントも兼ねて、企業の業務チェックを先生と一緒にやっていたときのことです。
その件で深夜2時に連絡がありました。
まさかこんな時間に?
先生、怒り心頭でした。
ミスを指摘されましたが私の担当ではなかったのです。言い訳がましくなるのも嫌だったので謝罪しました。
先生と関わるにつれて八つ当たりが増えていきました。感情の起伏が激しくて機嫌がいいかと思えば突然、スイッチが入ります。ある時、私が髪を縛っていたら
その頭なんなの!馬の尻尾みたいなやつ!
この間もその変な頭してた!
先生のアシスタントで研修にいったときもマイクを研修生にわたしていたら帰りに怒られました。
マイクをわたすのに2秒のロス!
さっさとまわしなさいよ!
この間も3秒のロスがあった!
大手企業の研修では管理職の皆さんの前で「なにを話してるのかわからない!」と大声で先生から怒鳴られ、延々と怒られました。
昼間は研修、家に帰ると原稿とフィードバックの作成。先生にメールで送るとやり直し、頻繁にくる連絡とで時給に換算したら780円ぐらいでした。
これも私が未熟だから仕方がない、自分のせいだと責めました。
それでも1人で研修を任され、ここまで育ててくれたのは先生のおかげだと感謝していました。基本をしっかり教えてくれているのだと。
ある大学の研修の帰りにバスで先生が突然、怒りだしました。
またいつもの八つ当たりだから流そう…
でも次の瞬間、もう辞めようと決心しました。
今日のあれなんなの?
この間の研修も3秒のロスがあった!
時間を無駄にしてる!
先生は過去の引き出しがいっぱいあって、数秒のロスからはじまり、引き出しを開けてあのときはああだった、こうだったとはじまります。
私には先生の過去の引き出しを閉めることができません。
仕事が厳しいのは理解しています。しかし、過去の引き出しを開けて、さらに感情的に怒鳴るというのは違うのでは?しかも突然です。
我慢に我慢を重ねて精一杯、努力をしました。でも、このまま先生のそばにいると自分が壊れてしまう。
先生に言い返さず従順な自分がいけないのかもしれない。だけど、もう関わるのはやめよう。そして、先生から離れました。
自分が壊れる前に仕事を辞めることも選択肢の1つです。それは逃げではありません。今でも先生から離れたことは正解だと思っていますし、後悔もしていません。